9-3 大報恩寺は義空上人の創建

本堂 国宝に指定されている
本堂 国宝に指定されている


百花さん これ無理だわ。見上げながら数えてたから、もう首、ヤバっ。でも、1000本って確認するのは難しいけど、本当にすごい数の垂木が使われているのはわかったよ。これ、鎌倉時代の創建当初の建物なんだよね。改めて昔の建築の凄さがわかりました。

ゆいまくん 千本釈迦堂は、鎌倉時代前半に義空(ぎくう)というお坊さんによってつくられたんだ。この方は奥州藤原氏3代目の藤原秀衡(ひでひら)の孫と伝えられているんだよ。

百花さん 奥州藤原氏といえば、中尊寺金色堂。行ったよね~。頼朝に滅ぼされちゃったって聞いて悲しかったけど、生き残った子孫がいたんだ!

ゆいまくん 出身は出羽国、今の秋田県だそうだ。鎌倉で出家したのち夢告によって京に向かい、比叡山で修行したんだ。また夢でお告げを得て、お寺を建てるべき場所を知った。すると、その土地の持ち主にも夢のお告げがあって、自ら土地を施入してくれたんだ。そこで義空はまず仮の本堂をつくって仏像を安置したんだけど、今度は尼崎の材木商が夢のお告げによって立派な材木を寄進してくれて、この本堂を…

百花さん ちょっと待った! 今、「夢のお告げ」が何度も出てきたよ。えっと、4回も! お告げ出過ぎ注意報発令中だ~

ゆいまくん 確かに、あとの人たちが義空さんの偉大さを語り継ぐなかで次第にできていった話かもしれないね *。でも、義空上人は大きな権力をバックにすることなく、お釈迦さまへの信仰を多くの人たちの中に根づかせるために像をまつり、やがて大きな本堂をつくり、たくさんの人から慕われ続けたということは本当だよ。そして、このお寺が幾多の戦乱や天災の中をくぐり抜けて今日まで続いてきたのも、各時代のたくさんの人たちがこのお寺を大切に思って力を尽くしたからなんだ。

百花さん よろしい。今の話はホラでないと認定してあげましょう。
 それで、国宝になった仏像は本堂にまつられているの?

ゆいまくん いや、2024年に国宝指定された仏像は六観音像と地蔵菩薩像で、霊宝殿(宝物館)に安置されているんだ。一方、本堂の本尊、釈迦如来像は快慶のお弟子さんの行快の作なんだけど、秘仏で、決まった日だけ厨子の扉が開かれるんだ **。たとえば、大根焚きの日とか。これは毎年12月7、8日に行われる行事でね、大鍋で大根を煮て、振るまわれた大根を食べると病気を避けられると言われているんだよ。

百花さん 大根焚き? おっきい鍋で煮るのよね。美味しそう。そういう日に来ればよかったのに。桜は咲いてない、本尊は見られない、大根も食べられない。話にはホラ入ってるし、どういうこと?

(注)
* 大報恩寺には「大報恩寺縁起記」と「洛北千本大報恩寺縁起并由致拾遺」という2種類の縁起が伝わり、1220年に義空が夢告に導かれて仮本堂をつくったことなど、この寺の草創期の動きを伝えてくれる。なお、現本堂の上棟は1228年(今の暦に直すと)であり、これは棟木銘よってわかっている。

** 本尊のご開帳は1月1日から3日、2月3日(節分会)、8月8日から12日(精霊迎え)、8月16日(精霊送り)、12月7、8日(成道会、大根焚き)