21世紀国宝仏の旅・ごあいさつ

 

 この度、「せきどよしおの仏像探訪記」と別立ての形で、「21世紀国宝仏への旅」というコンテンツをスタートさせていただくことにしました。


 「仏像探訪記」では、できるだけシンプルな形式でと心がけてきました。それに対して「21世紀国宝仏への旅」は、2人の架空の人物を主人公にたて、彼らの対話を通じて仏像の魅力が伝わるような読み物にしたいと思っています。仏像に詳しい方にも、それほど詳しくない方にも面白いと思っていただけるものをめざしたいと考えています。
 タイトルの「21世紀国宝仏」ですが、その言葉の通り、21世紀、すなわち2001年以後に国宝指定された仏像彫刻をさしています。対象をなぜ新しく国宝指定された仏像に限っているのかというと、これがなかなか興味深いラインナップだからです。
 あげてみますね。

2002年 三千院の阿弥陀三尊像
2004年 中尊寺金色堂の堂内諸像
2005年 熊野速玉大社の神像彫刻
2013年 安倍文殊院の文殊菩薩像と脇侍像、願成就院の運慶作の仏像5躯
2015年 醍醐寺の虚空菩薩像、東大寺の弥勒仏像(試みの大仏)
2016年 西大寺の叡尊像
2017年 深大寺の釈迦如来像、法華寺の維摩居士像、天野山金剛寺の大日如来像と両脇侍の明王像
2018年 三十三間堂の1001体の千手観音像、興福寺南円堂の四天王像
2019年 安祥寺の五智如来像、唐招提寺の木彫像6躯
2020年 法金剛院の阿弥陀如来像、法隆寺金堂の天蓋

 抜けている年は、彫刻の国宝指定がなされませんでした。なかった年も多いですが、その一方で同時に3件も国宝指定された年もあったり、特に2015年から2020年まではまるでラッシュのように多くの仏像が国宝指定されています。
 これらをご覧になって、皆さんはどう思われましたか。「あれっ、この仏像、とっても有名だよね。とっくの昔に国宝になっていると思っていた」というものあり、逆に、詳しい人でも「うーん、どんな像だったかな」と思い出すのに苦労するような、かなり地味な(失礼!)ものもあったりします。
 でも、国宝指定されたのですから、それ相応の理由があり、当然ながらそれぞれの仏像ならではといった魅力があるはずですよね。もちろん、文化庁が解説した文章もあるのですが、さらにわかりやすく伝えるために書かれたものってあまりないように思います。

 さて、この「21世紀国宝仏の旅」では、これら新国宝仏の魅力を語ってくれる主人公として、ゆいまくんと百花さんという人物に登場願うことにしました。ゆいまくんは仏像オタクの30歳代男性、百花さんは仏像初心者で20歳代の女性という設定です。しかし、どちらも時に10代のような青くささを発揮し、またある時は60代のような含蓄ある表現を開陳したりもします。主人公と書きましたが、本当は語られる仏像の方が主役であり、2人は舞台回しのようなものと思って読んでいただければ幸いです。

 

せきどよしお