6-12 百花の「なるほど!国宝」メモ

 

桜井市の文殊院は、奈良時代以前からの崇敬寺(安倍寺)を前身とする歴史ある寺院で、その本尊の文殊菩薩像と脇侍像が2013年に国宝指定されました。

 

獅子に乗った文殊菩薩が4人の脇侍を従えているのは、五台山文殊の姿とされています。この文殊院の像は、日本を代表する五台山文殊の像なんです。

 

文殊菩薩像は理知的で勇壮。華やかな衣服や装身具を着けて、中国、宋の時代の最新流行をとりいれています。脇侍像は、文殊菩薩と関係の深い童子や王、僧などです。脇侍の1体と獅子を除いて、当初の像が伝わっています。

 

像内銘には1203年、納入文書には1220年の年が書かれています。銘文と納入品から、関係者の名前など、たくさんの情報も読み取れます。

 

像の作者は快慶。当初造像をリードしたのは、深い文殊信仰を持っていた重源のようです。東大寺再建がほぼなったことを記念する行事に合わせて、この像の造立が進められたと考えられていますが、実際の完成までには長い時間がかかりました。