4-9 百花の「なるほど!国宝」メモ

 

興福寺南円堂は平安時代前期に創建され、本尊は不空羂索観音像。興福寺の中でも格別に重要視されてきたお堂であり、仏像です。1年のうち1日だけですが、堂内で拝観できるんですよ。仏さまの姿がとてもよくわかります。

堂内には鎌倉時代はじめに再興された不空羂索観音像、法相六祖像、四天王像が安置されています。これらすべては康慶一門によってつくられました。康慶は有名な運慶のお父さん! 南円堂はその後も2度火災にあい、江戸時代再建の建物にかわっているんですけど、康慶らによる11体の仏像は1体も欠けることなく現代に伝わっているんです。すごい。

かつて堂内には、別の鎌倉再興期の四天王像が安置されていたそうです。どこかで入れ替わちゃっていたんですね。それが判明し、本来の四天王像が戻ってきました。国宝に指定されて、堂内の11体はすべて国宝です。

四天王像は、動きにややぎこちなさもあるけど、迫力があり、細部までしっかりとつくられています。4体のまとまりもいいし、姿勢や鎧の模様など1体ごとに違いがあって、とてもすばらしいです。じっくりと見てください。

作者の康慶は、後白河院ゆかりの蓮華王院の造仏や東大寺の復興造仏でも活躍したのですが、それらは残念ながら伝わりません。康慶の作風を知るなら、まず南円堂の11体の像を見るべき! 運慶、快慶の方が有名ですけど、彼らを育てたのは康慶ですし、新しい時代にふさわしい仏像彫刻の扉を開いた人物として康慶の名前はもっと知られていいと思います。