4-11 興福寺南円堂四天王像関係年表


710年 平城遷都にともない、藤原不比等が厩坂寺を大和国高市郡より平城京に移し、興福寺と号す。(実際はこの数年後か)
746年 興福寺講堂の本尊として不空羂索観音像を造立。この像がのち南円堂に移されたという。
791年 講堂の阿弥陀三尊像を造立
9世紀初頭? 藤原内麻呂が不空羂索観音像、四天王像をつくる。
813年 藤原冬嗣、南円堂を創建。父、内麻呂造立の不空羂索観音像、四天王像をまつる。
(南円堂の初代本尊については、奈良時代につくられた旧講堂本尊が移されてきたとする説と、藤原内麻呂がつくり、一時別の場所に置かれていたのを、南円堂ができると移し本尊としたとする説とがある)
816年 南円堂前の金堂灯籠(燈籠)つくられる。(現在は国宝館で展示)

10世紀後半~ 興福寺の僧兵が盛んに活動。入洛し、強訴を行う
1046年 興福寺大火、南円堂も焼亡、本尊、六祖像は無事。四天王像は南方天を除く3像の邪鬼が焼失
1048年 南円堂、再建(焼失した3体の邪鬼は仏師定朝が補作)
12世紀前半 南都巡礼記(『七大寺日記』『七大寺巡礼私記』)に、南円堂の安置仏として不空羂索観音像、四天王像、六祖像のことが書かれる。

1152年 仏師康慶が高5尺の吉祥天像をつくる。(現存せず。康慶の事績のはじめ)
1177年 康慶、静岡県・瑞林寺の地蔵菩薩坐像をつくりはじめる。完成は同年(治承元年)の12月(治承元年は1177年だが、12月は現在の暦では1178年1月)
1178年 康慶、蓮華王院五重塔の造仏の功で法橋となる。(治承元年の12月=今の暦で1178年1月)

1181年 平重衡による南都焼打ちにより、興福寺は全山焼亡(治承4年=1180年だが、12月なので、今の暦に直せば1181年1月)
1181年 興福寺の復興計画が定められ、南円堂は氏長者の分担と決まる(この時点での氏長者は近衛基通)。南円堂の造仏担当が康慶と決まる。(この時、成朝は食堂の造仏担当となる)
1186年 九条兼実が氏長者となる。(~1196年)
1188年 南円堂上棟、南円堂の造仏開始
1189年 南円堂の本尊像を九条兼実が実見し、康慶に不審をただす。像内に納入品を籠める。開眼供養。南円堂四天王像も同時に完成か。四天王像の担当仏師は実眼。
1191年 興福寺南大門の仁王像造立に関して、担当を院実から康慶に変えるように興福寺側が願う(結果は不明)。
1193年 蓮華王院内御堂の供養に際して、「幸経」が後白河法皇のための不動三尊像をつくったことへの賞として、その弟子が法橋になったとの記事あり(『皇代暦』)。幸経は康慶のことか。だとすると、法橋となった弟子は運慶か。
1194年 興福寺供養、ただし康慶の賞は「追って申し請うべし」と見え、延期されたらしい? (この時、康慶はすでに法眼となっている。法眼位となった年月、また、何による賞か等不明。『愚昧記』による)
1195年 康慶、東大寺供養に際しての造仏賞を子の運慶に譲る(運慶は法眼となる)。
1196年 康慶一門、東大寺大仏殿の脇侍像を造立。康慶は虚空蔵菩薩像を運慶とともに担当。(現存せず)
1196年 康慶一門、東大寺大仏殿の四天王像を造立。康慶は増長天像を担当する。(現存せず。康慶の事績の最後)

1327年 興福寺大火、南円堂も焼亡、諸像は救出
1399年 南円堂など興福寺の諸堂を供養(南円堂は1356年ごろまでにはできあがっていたと思われる)
1717年 興福寺大火、南円堂も焼亡、諸像は救出
1741年 南円堂立柱
1789年 南円堂完成
1819年 中金堂の仮金完成

1868年 神仏分離令
1871年 社寺上地令により、興福寺は堂塔以外のすべての寺地を没収される。
1874年 興福寺食堂、取り壊される。
1880年 興福寺の旧境内地を奈良公園とする。
1881年 興福寺の再興が認められる。
1895年 正岡子規、奈良を訪れ、句作
1902年 中金堂(仮堂)安置の四天王像(のち仮金堂安置、現南円堂像)、国宝指定(戦前の制度、現在の重要文化財)
1907年~1908年 四天王像(現南円堂像)を修理
1952年 南円堂本尊の不空羂索観音像、国宝指定
1953年 南円堂法相六祖像、国宝指定
1959年 食堂跡に宝物収蔵庫(国宝館)を建設
1974年 薬師寺の旧金堂を講堂跡に移築し、仮金堂とする。(翌年落慶法要を行う。現仮講堂)
1990年 仮金堂安置の四天王像について、本来南円堂像であるとはじめて指摘される
1990年~91年 四天王像(現南円堂像)を修理
1996年 南円堂修理
1998年 「古都奈良の文化財」、世界遺産登録
2000年 中金堂(仮堂)解体
2018年 中金堂再建
2018年 南円堂に本来の四天王像が戻る。(それまで南円堂に安置されていた四天王像は中金堂安置となる)
2018年 南円堂四天王像、国宝指定