1-3 阿弥陀如来ってどういう仏さまなの

百花さん 阿弥陀仏って言ったり、阿弥陀如来とも言うみたいだけど、これって同じ? 

ゆいまくん 阿弥陀仏と阿弥陀如来は言い方の違いだから、もちろん同じだよ。
 仏教の開祖は釈迦、百花さんもそれぐらいは知っているよね。釈迦は悟りを開いて仏陀となり、教えを説いた。これが仏教のはじまりだ。最高の悟りへと到達した存在が仏陀、それを如来ともいうんだ。そして仏は仏陀を略した言葉だから、仏と如来は同じというわけだね。

百花さん じゃあ、釈迦も如来なの?

ゆいまくん そうだよ。釈迦如来、あと薬師如来などの如来があって、その中でも阿弥陀如来は日本でもっとも信仰され、たくさんの仏像がつくられた仏というわけだね。
 これら如来の姿はね、悟りを開いた釈迦をモデルとしているんだ。釈迦は粗末な布を継ぎ合わせた大きな衣をまとって暮らしたと伝えられていて、如来像はこれにならってつくられるんだ(下半身に巻きスカートである裙(くん)を着け、上半身から下半身にかけて長い大きな1枚の布をぐるりと巻く姿がスタンダード)。悟りを開いた者はもはや執着する心をはじめさまざまな煩悩から完全に解き放たれているわけだから、ぜいたくな着物や冠などの装身具を着けるということもない。これから拝観させていただく法金剛院の阿弥陀如来像もシンプルな姿をしているよ。

百花さん 阿弥陀という名前にも意味があるの?

ゆいまくん 「限りなき光」という意味があるんだ。阿弥陀仏はこの世界とは異なる極楽浄土という世界の主であり、救いを求める人々の願いに応え、浄土に迎えてくださる慈悲深き仏さまとされている。
 これから拝見させていただく法金剛院の阿弥陀如来像は、座った姿で2メートル以上の大きさがあり、もしこの仏像が立ったとするならば、身長は4メートル半くらいということになる。なぜそんなに大きな像としてつくられたのかというと、如来像のモデルとなった釈迦がとても長身だったという話が伝わっているからなんだ。釈迦の偉大さが伝承されるなかで、姿形も並はずれていたといった話が付加されていったのだろうね。
 日本の仏像の多くは木を材料につくられており、こちらの阿弥陀如来像もそう。でもこれだけの大きな仏像をつくるためには複数の木材を合わせてつくる必要があるよね。そのつくり方を寄木造というんだ。

百花さん 要するに、姿はシンプルだけど、偉大さ、優しさが表現されていて、大きくつくられたりするってことね。

ゆいまくん 思いっきりよくまとめたね。