鷲峰寺の四天王像

  興福寺北円堂の像を模している

住所

高松市国分寺町柏原632-3

 

 

訪問日 

2015年7月25日

 

 

 

拝観までの道

高松駅からJR予讃線で4駅、国分(こくぶ)という駅がある。ここは高松市の西の端で、その先は坂出市とである。

国分という名前のとおり、駅の北東に讃岐国分寺がある。四国八十八ヶ所霊場の第80番札所である。

 

駅の南方、直線距離にして2キロ弱のところに鷲峰寺(じゅうぶじ)がある。

駅から徒歩で40分くらい。他の交通手段としては、西隣りの讃岐府中駅の近くにタクシー会社があり、呼べば来てくれる。また、東隣りの端岡駅から国分寺町コミュニティバスはくちょう温泉行きで「内間」下車。ただし、日祝は運休。

 

拝観は事前連絡必要。余裕をもってご連絡することをお勧めする。

 

 

拝観料

志納

 

 

お寺や仏像のいわれなど

鷲峰寺の西側、ちょうどこのお寺をふところにいだくようにして南北に連なる山を鷲ノ山という。この山がインドの霊鷲山に似ているとして、鑑真が創建したのが鷲峰寺であるという。

本尊は秘仏の千手観音像。

 

鎌倉時代後期に西大寺の長老・信空が来寺したことが広島県尾道市の浄土寺の文書より知られる。この時期に、西大寺流律宗のこの地域における拠点して再興されたのであろう。今収蔵庫に安置される四天王像もこの頃の作と考えられている。

現在は天台宗寺院である。

 

 

拝観の環境

収蔵庫扉口からの拝観で、像までやや距離がある。

 

 

仏像の印象

四天王像は、像高各1メートルくらい。寄木造で玉眼を入れる。

腕を前で交差させる持国天、右手を首のあたりまで差し上げている多聞天は、動きを抑えて、落ち着いた立ち姿。一方体をひねって動きを出す増長天像と左手を上げて右手を腰にあてる広目天像は、さっそうとした印象である。4躰とも邪鬼を踏まえている(邪鬼は後補)。

 

この四天王像のそれぞれの姿勢は、興福寺北円堂に安置されている四天王像と同じである。北円堂の像は高さ130~140センチ。平安時代前期の作で腰まわりなど太いつくりでありながら、動勢にきれがあり、諧謔味のある名品である。

その姿を受け継ぎながらも、鷲峰寺の四天王像は量感という点では減退し、穏やかな像となっている。

このほか、大分・永興寺の四天王像も興福寺北円堂の像をモデルにつくられていることが知られている。

 

 

その他

四天王像とともに安置されている十一面観音像は別名泥吹観音といい、丸亀市の池より掘り出されたものという。

 

 

さらに知りたい時は…

『大安寺のすべて』(展覧会図録)、奈良国立博物館ほか、2022年

『さぬき国分寺町誌』、国分寺町、2005年

『高松の文化財』(『高松市の文化財』14)、高松市歴史民俗協会、1992年

『国分寺町の文化財』、国分寺町文化財保護委員会、1980年

『香川県の文化財』、香川県教育委員会、1971年

 

 

仏像探訪記/香川県

広目天像
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