曼殊院の慈恵大師像
比叡山中興の祖、良源の像
住所
京都市左京区一乗寺竹ノ内町42
訪問日
2018年2月4日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
曼殊院(まんしゅいん)は叡山電鉄本線の修学院駅から東に徒歩約20分。
最寄バス停は「一乗寺清水町(京都市営バス北8号)。徒歩15分~20分。
お寺に向かう道は次第に上り坂となり、やや息が切れたころ門前に出る。
拝観料
600円
お寺や仏像のいわれなど
寺伝によれば、最澄が比叡山内に設けた小寺院が曼殊院の起源という。
12世紀ごろに京の街へと移り、何度か移転ののち、江戸時代初期に現在地に寺域を構えて現在に至る。
天台宗寺院。皇族や摂関家の出身の僧が住職をつとめる門跡寺院として格式を誇った。
拝観の環境
拝観順路をたどっていくと、渡り廊下の先、大書院の一間に慈恵大師像が安置されている。
斜め下からライトが照らし、魁偉な容貌をよく見ることができる。
仏像の印象
慈恵大師は元三大師ともいい、10世紀に活躍し比叡山中興の祖といわれる天台僧・良源のことである。
像高は約80センチ。ヒノキかと思われる材を用いて、割矧ぎ造によってつくられている。玉眼を入れる。
頭頂部ややや尖り、顔はごつごつとして、異形の相をあらわす。目は釣り上がり。眉は太く、口は強く結ぶ。
衣のひだは執拗に刻まれ、良源の異能がほとばしるさまをあらわすかのようである。
脚部の内ぐり面に長文の銘がある。それによれば比叡山の僧栄盛が33体の慈恵大師の等身大像をつくることを決意し、1261年から開始した。その9番目が本像であり、1268年の作であると知られる。
なお、ほかに5番目の像、11番目の像が現存し、それぞれ延暦寺国宝殿と愛知・真福寺大師堂に安置されている。
さらに知りたい時は…
『日本彫刻史基礎資料集成 鎌倉時代 造像銘記篇』10、中央公論美術出版、2014年