西光院の十一面観音像

  高さ6メートルの立木仏

住所

石岡市吉生2734

 

 

訪問日 

2006年11月18日  2010年9月12日 

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

茨城県教育委員会・いばらきの文化財

 

 

 

拝観までの道

西光院は、常磐線石岡駅の西方にある柿岡という町からさらに西、峰寺(みねでら)山の山腹にある。

石岡駅改札左手のバスターミナル(2番乗り場)から関鉄グリーンバス柿岡車庫行きで約30分(本数は日中1時間に1〜2本)、終点で下車し、そこから徒歩。または、終点まで行かずに「新宿」または「柿岡」で下車して、商店街の中にあるハイヤーを使う。

 

 → 関鉄グリーンバス

 

今回は、行きはハイヤーを使い(2,000円台だった)、帰りはバスの終点「柿岡車庫」まで1時間くらいかけて歩いた。道はそれほど分かりにくくはないが、地図は必要と思う。

 

 

拝観料

特に設定はなかった。

 

 

お寺や仏像のいわれ

西光院は峰寺と通称され、本堂は舞台を備えて眺望がよいため、関東の清水寺ともいわれるそうだ。舞台造りの本堂は崖に寄り添うように造られ、岩を本尊に見立ててまつったのがはじまりだという(現在は秘仏の馬頭観音が本尊で、前立ちが置かれている)。巨石への信仰と仏教が結びついて開かれた寺院であることが実感される。

「立木観音」と呼ばれている十一面観音立像は、近くの廃絶した寺から移されてきたものだという。

 

 

拝観の環境

十一面観音立像は、本堂の手前の収蔵庫に安置され、日中であればいつでも扉が開かれていて、拝観することができる。

外光がよく入り、見やすいが、高さ約6メートルの巨像が狭い収蔵庫いっぱいに立っているため、見上げるようにして拝観する。

 

 

仏像の印象

平安時代にさかのぼる像という。神秘的な容貌、太い腕、浅い衣紋の彫りは、独特のものである。体は胸から足にいたるまで寸胴につくられ、立木仏の特徴がよく現れている。

立木仏とは、立ったままの木にノミを入れて仏像にしたものであるという。この観音像では足の部分が新しい材と取り替えられているが、もともと根がついたままで、そこが傷んでしまったということだろう。

しかしそれにしても、生えている木に彫刻を施すということが本当にあるのだろうか。立ったままの木の皮をはいで彫り出していくというシーンがどうしても想像できないが、霊木への信仰と仏教の結びつきからこうした特異な姿の仏像が造られたのだろうということは実感できる。

 

 

さらに知りたい時は…

「ほっとけない仏たち56 立木十一面観音像」(『目の眼』527)、青木淳、2020年8月

『茨城彫刻史研究』、後藤道雄、中央公論美術出版、2002年

『日曜関東古寺めぐり』、久野健ほか、新潮社とんぼの本、1993年

 

 

仏像探訪記/茨城県