日輪寺の十一面観音像

  毎年1月11月に開扉

住所

前橋市日輪寺町412

 

 

訪問日 

2010年1月11日 

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

中央・南橘の文化財を訪ねて/前橋市

 

 

 

拝観までの道

前橋駅または新前橋駅から関越バスで「荒牧」下車。前橋駅からの方が便が多い(渋沢駅行き、日中1時間に3本くらい)。

 

 → 関越交通バス

 

「荒牧」バス停から東北東へ約5分行くと大きな山門が見えてくる。

観音堂本尊の十一面観音像は、毎年1月11日に開扉されている。

 

 

拝観料

特に拝観料の設定はなかった。

 

 

お寺や仏像のいわれ

古代草創と伝えるが不詳。観音堂は江戸時代の再建。かつては百枚以上の絵馬がかけられていたそうで、信仰厚いお寺であることがわかる(現在は江戸前期の1枚のみ残し、別に保管)。

本尊の十一面観音像は平安時代の鉈彫り仏で、かつては90年に一度だけ開帳されていたという。

江戸時代末期(19世紀なかば)にご開帳があったのち、20世紀前半に内務省の調査で開扉されるまで、実際に数十年間扉は閉ざされたままであったらしい。

1950年代に久野健氏が調査に訪れて以後、次第に世に知られるようになった。

 

かつては、観音堂の厨子中に本尊の十一面観音像とお前立ちの観音像が安置されていた。厨子の中で、さらにそれぞれの厨子に入って安置されていたそうで、年に2度のご開帳には前立ち像のみが開扉されていたとのこと。

 

 

拝観の環境

観音堂本尊の十一面観音像は、現在はお堂の裏手の収蔵庫に移され、その中のガラスケースの内に安置されている。

ケースの中には照明もあるが、長い時間仏像に当てたくないとの配慮で、途中からは外の明かりでの拝観となった。

筆者が訪れた2010年のご開帳では、開扉時間は8時から16時まで、10時と14時にはご住職による説明があった。

 

 

仏像の印象

個性ある仏像で、写真で見ると角度や照明によってずいぶんと印象が変わる。

ライトの光と外からの明かりでは、ずいぶん印象が変わって面白い。

 

像高は120センチ余、カツラの一木造。

手先を除き、頭上面や上腕までも共木から刻み出されている。

全身に鑿(ノミ)目を残すが、整然とした横すじでなく、また比較的浅い彫りで、一部墨書きがあるほか、素木のつくりである。

口から下、あごのあたりががっしりとして、強い印象を与える。しかし全体的には、ふくよかな顔、伏し目がちで、やさしさを感じさせる。

ほぼ直立するが、顔をやや傾げ、肩はなで肩で、下半身を横切る天衣はぶ厚く表現されて、独特の地方的な感覚がある像である。

 

 

さらに知りたい時は…

「ほっとけない仏たち63 日輪寺の鉈彫十一面観音」(『目の眼』534)、青木淳、2021年3月

「日輪寺蔵 木造十一面観音菩薩立像」(『国華』1393)、岡部央、2011年11月

『日輪寺』(お寺発行の小冊子)、1983年

『前橋市史』1、前橋市史編さん委員会、1971年

『関東彫刻史の研究』、久野健、学生社、1964年

 

 

仏像探訪記/群馬県