大法寺の薬師如来像

「落馬薬師」

 

住所

糸島市二丈福井4576

 

 

訪問日 

2016年3月7日

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

福岡市博物館・アーカイブズ

 

 

 

拝観までの道

福岡市から佐賀の唐津市に至るJR筑肥線の福吉駅またはひとつ手前の大入駅で下車、20~25分くらい歩いたところに大法寺(だいほうじ)というお寺がある。

福吉駅からだと東南方向。駅北口より県道202号(唐津街道)を東に5分くらい進み、右折して踏切を渡り、中学校の脇から県道のバイパス(かもめロード)の下の道に出て東へ7~8分。さらに右折して東南へ進むとまもなく見えてくる。最後は上り坂となる。

拝観は事前連絡必要。

 

 

拝観料

志納

 

 

お寺や仏像のいわれなど

大法寺は南北朝時代に開かれた曹洞宗の寺院である。

本堂に安置されている薬師如来像は、このお寺の歴史よりさらに古い平安時代の作。

本来はお寺の西方1キロくらいの場所にまつられていたが、のちにお寺の門前に移されてきた。しかし霊験の力があまりに強く、馬に乗った武士が落馬をするなどしたため、境内に移し、さらに本堂内でまつることになったとのこと。

こうした逸話により、「落馬薬師」の異名がある。

 

 

拝観の環境

薬師如来像は本堂内、本尊に向かって左側の間にまつられている。

すぐ前から拝観させていただけた。

 

 

仏像の印象

クスノキの一木造で、像高約150センチの立像。高い位置でまつられていることもあってか、大きく感じられる。

もっこりと高い肉髻、細面、細い体が印象的な像である。体の厚みもあまりない。

目は切れ長で、細い顔であるために横顔の方へと続いていく。衣も浅く、簡素な風である。また頭部が若干傾いて、顔と体の正中線があっていないのも、素朴さを感じさせる。

しかしじっくりと見ていくと、左右の眉は非常によく揃い、頬は微妙な肉付きがあって、斜め下から見上げると神々しい。ボリュームを強調しない太もものつくりなど大人しい感じだが、ももの内側を流れる衣のひだは丁寧なつくりである。

前にすわって見上げていると、離れがたく感じる。

 

 

その他

脇侍と十二神将像はあとで補われたもの。

十二神将像は腕を失ってしまっている像もあるが、十二躰そろって伝わっているのは幸いである。大きな頭部、また独特の動勢で魅力ある像となっている。

 

 

さらに知りたい時は…

『福岡県の仏像』、アクロス福岡文化誌編纂委員会、海鳥社、2014年

『空海と九州のみほとけ』(展覧会図録)、福岡市博物館、2006年

『二丈町誌』(平成版)、二丈町誌編纂委員会、2005年

 

 

仏像探訪記/福岡県