神照寺の千手観音像

浮き彫りで無数の手をあらわす

住所
長浜市新庄寺町323番地


訪問日 
2026年5月20日


この仏像の姿は(外部リンク)
長浜・米原を楽しむ 神照寺半肉彫千手観音立像



拝観までの道
神照寺(じんしょうじ)へは、長浜駅から近江鉄道バス・湖国バス浅井分庁舎行きに乗車し、「神照寺前」下車。ただし、このバスは本数が限られる。ほかには湖北病院行きで「北新町」下車、北東に徒歩15~20分。または、長浜駅前に常駐するタクシー。
拝観は水曜日と日曜日の午後(13時30分からと15時からの2回)のみ受け付けている。ただし、事前に連絡が必要。水、日であってもできない日もあり、ホームページで告知している。

神照寺ホームページ


拝観料
1200円


お寺や仏像のいわれなど
真言宗寺院。本尊は秘仏の大日如来像。創建は平安時代中期、戦国時代に兵火で焼失、のち羽柴秀吉によって再建された。
本堂の手前に収蔵庫があり、宝物が移され、千手観音像、不動明王像(2体)、毘沙門天像などが拝観できる。


拝観の環境
本堂拝観ののち、収蔵庫にご案内くださる。庫内、近くよりとてもよく拝観できる。


仏像の印象
千手観音像は、像高は50センチ余り。
1枚の厚い板から半肉彫り(浮き彫り)で作られている。裏面は板のままに残し、頭上面、正面の大きな手、持物を取る手、そして無数の脇手、天衣までもが彫出されている。こうした像はほぼ類例がないと言っていい。

顔立ちは穏やか。眉を上げ、ほおは適度な膨らみで、唇は小さめだが豊かに作られている。体も誇張はなく、安定感があるが、よく見ると下肢を横切る天衣にはひねりがあり、その下の裙のひだは太い。左右の下がってくる天衣はゆったりとした曲線を描いて最後はくるりとまるまっているところも面白い。。
脇手は持物をとる大きめの手と、たくさんの小さな手が立体的に作られていて、素晴らしい。ほとんどが当初のままであり、他像の多くが手先や持物が後補に変わっている中、大変貴重と言える。
造像年代は8世紀までさかのぼるとする説もあるが、平安時代中期、10から11世紀の作と思われる。


その他の像
不動明王像は50センチ前後の立像2体で、1体はずんぐりとした体型で、どことなくユーモラスだが、大きく見開いた目、たっぷりした髪、その髪や下がる弁髪に細かく毛筋が刻まれているさまは魅力的である。一木造、平安時代中期ごろの作。
もう1体の不動明王像は鎌倉時代後期ごろの作で、寄木造、玉眼。こちらは激しい動きを見せ、剣を肩に担ぐようにし、前に出した右足を浮かせている。髪は巻毛。「見返り不動」とも呼ばれているそうだ。
毘沙門天像は30センチほどの小像。一木造で平安後期ごろの作。顔立ち、体勢は穏やかで上品な像である。


さらに知りたい時は…
『平安密教彫刻論』、津田徹英、中央公論美術出版、2016年
『古佛・続 古密教彫像巡歴』、井上正、 法蔵館、2012年
『長浜市史』1、長浜市史編さん委員会、1996年


仏像探訪記/滋賀県