瓜生薬師堂と大田寺の薬師如来像

1本の木から2像を彫り出したと伝える

瓜生薬師堂
瓜生薬師堂

住所
長浜市瓜生町(瓜生薬師堂)
長浜市木尾町(大田寺)


訪問日 
2026年5月20日


この仏像の姿は(外部リンク)
長浜・米原を楽しむ 珀清寺(瓜生薬師堂)薬師如来坐像
長浜・米原を楽しむ 大田寺(木尾薬師堂)薬師如来坐像



拝観までの道
瓜生(うりゅう)薬師堂と大田寺(だいでんじ)は、北陸本線の河毛駅から東の方向にある。
近くを路線バスは通っていないので、雨天等でなければ河毛駅直結のコミュニティハウスでレンタサイクルを借りるのがよい。電動アシスト付きもある。
河毛駅から瓜生薬師堂まで5キロ弱、さらに大田寺まではおよそ2キロ半。大田寺への参道の一本道は登り坂だが、あとはほぼ平坦。ただし、途中に案内板などの目印になるものはほぼない。
なお、河毛駅の1つ南側にある虎姫駅にもレンタサイクルがある。

瓜生薬師堂、大田寺とも地域の方が管理されており、拝観は事前連絡必要。連絡の窓口は高月観音の里歴史民俗資料館内の観音コンシェルジュ。

高月観音の里歴史民俗資料館


拝観料
瓜生薬師堂、大田寺とも拝観料500円


拝観の環境
瓜生薬師堂、大田寺とも庫内近くよりよく拝観させていただける。


瓜生薬師堂と薬師如来像について
長浜市瓜生町の北部、県道277号から少し北に入ったところに、浄土真宗の珀清寺(はくしょうじ)がある。瓜生薬師堂の薬師如来像はこの珀清寺に属すが、薬師堂(収蔵庫)があるのは珀清寺の前を北に200メートルほど行った日吉神社の境内である。

像高は約150センチの坐像。ケヤキの一木造で、背中と像底からくりを入れているという。平安中期ごろの作。とても大きく、立派な像である。
肉髻はやや小さめで、螺髪は小粒。目は半眼よりは見開き、切れ長とし、眉もしっかりと長い。耳は大きい。ほおはほどよい張りがある。顎はしっかりとつくる。うつむかず、正面を見る。
肩から胸にかけては広く、胴で絞る。
頭や胴は斜めから見ると厚みがあり、また若干反った姿勢をしていて、とても力強い。
脚部はやや低いが、後の時代の手が入っているらしい。


大田寺と薬師如来像について
瓜生薬師堂から東南東に2キロ半ほど行った木尾という集落のはずれに真言宗の大田寺がある。本堂(収蔵庫)のみが残るお寺で、木尾薬師堂とも呼ばれる。

薬師如来像は像高約140センチの坐像。材はヒノキという。
肉髻はお椀型に大きく膨らみ、螺髪の粒は小さく、よく揃う。丸顔で、伏目がち、目鼻口は小ぶりで顎も小さめ。上半身は大きいが、撫で肩で、手はスラリとは伸びず、膝も低い。定朝様の影響を受けた平安後期、末期の像である。
しかし、この時代の仏像を形容するときに用いられる繊細さ、優美さよりは、威厳に満ち、力強い表情に見える。
頭部を大きめにして、右肩に衣を大きく掛け、脚部の衣文は細かくしっかりと刻んでいるところにも惹かれる。

左手に薬壺をとるが、金色に光って、新しい金属製の器のように見える。実はこれは本来の薬壺ではないらしい。本来のものはとても尊いものとして、自治会で別保管しているとのこと。このような例は聞いたことがなく、とても面白いと感じた。


その他
瓜生薬師堂の薬師像とは兄弟の仏といわれ、2体は1本の木の先と根元から彫られたと伝わる。集落名の木尾というのも、使用した木の部分からきているという話もあるらしい。しかし像高こそ近いが、樹種も異なり、作られた時代も違っている。それほど遠くない2つの場所に同じような大きさの薬師像が伝わっていることから、こうした伝承が生まれたのだろう。


さらに知りたい時は…
『仏像集成』4、学生社、1987年


仏像探訪記/滋賀県

大田寺
大田寺