東方寺の薬師如来像・諸像

  本堂に並ぶ平安古仏群

住所

栗東市小柿4-5

 

 

訪問日 

2014年7月19日

 

 

 

拝観までの道

東方寺(とうぼうじ)は栗東市にあるが、最寄り駅は草津駅である。

駅ほぼ真東の方向、県道2号が国道1号(東海道)に合流する交差点「国道小柿」に近い。奥まって若干分かりにくいが、入口は県道2号に面する。

草津駅から徒歩約20分。

 

拝観は事前予約必要。

 

*知人からの情報によると、現在東方寺の仏像は、市内の常勝寺さんに移されており、ご予定があえば、少人数での拝観は事前予約で可能とのこと。(2022年6月)

 

 

拝観料

志納

 

 

お寺や仏像のいわれなど

平安時代に天台宗寺院として創建された寺院であるらしい。

10世紀後半以後、延暦寺は慈恵大師良源の指導のもとで勢力を伸ばし、琵琶湖の周囲に拠点をいくつもつくり出していくが、この寺もそうした動きの中で登場したのではないかと推測されている。

現在は本堂があるばかりの小寺院となり、宗派も時宗となっている。

 

 

拝観の環境

近くよりよく拝観させていただいた。

 

 

仏像の印象

本尊は薬師如来坐像。そのほか、その左右に立つ脇侍像、四天王像、兜跋毘沙門天像、聖観音像の計9躰の平安木彫仏が伝来している。

 

薬師如来像は像高約85センチの坐像。一木造。材はヒノキという。右足を上にして組む。

素地をあらわし、1000年の風雪に耐えて来たその姿は、ゆるぎない岩の彫像を見るようである。

肉髻は低め、顔つきは引き締まる。

衣の襞は鋭くはないが、体をくるむ質感にすぐれる。

 

脇侍の2菩薩は、本来の一具ではない。

向かって左側の像は月光菩薩像というが、本来の像名は不明。像高は170センチ弱の立像で、ヒノキの一木造という。目鼻立ちが大きく、やや下膨れで、お腹は丸く、腰をひねって立つ。膝の前で左右から下がる天衣がからみあい、W字となっているのは面白い。素朴さの中に洒脱な造形がある魅力的な像である。

向かって右側は細身の十一面観音像(ただし頭上面は失われ、ついていたあとのみが残る)。細身で優しい印象の像である。薬師如来像や伝月光菩薩像よりも造像年代は下って、平安時代後期のようである。

四天王像や兜跋毘沙門天像の方が古く、中尊像に近い頃の作と思われる。

 

 

さらに知りたい時は…

『国宝一遍聖絵と時宗の名宝』(展覧会図録)、京都国立博物館ほか、2019年

『栗東の歴史』4、栗東町史編さん委員会、1994年

『栗東の歴史』1、栗東町史編さん委員会、1988年

 

 

仏像探訪記/滋賀県