宝厳寺の聖観音像

平安時代後期の可憐な仏像

住所

長浜市早崎町竹生島

 

 

訪問日 

2018年8月11日

 

 

拝観までの道

竹生島は琵琶湖の一番北にあたる場所にあり、長浜市に属する。

船便は長浜港のほか、今津港、彦根港からも出ている。長浜港は長浜駅西口から南へ徒歩10分。約30分のクルージングで、竹生島の南側にある桟橋に到着する。沖に出ると、間もなく正面に竹生島が見え、そこからはまっすぐに進む。船の先頭の方に座れば、近づくにつれて視野の中で大きくなっていく神の島への期待がいや高まる。

 

桟橋の先には何軒かの食堂や土産物屋さんがあり、やがて拝観入口に着く。

島内は階段が多く、特に最初の拝観入口から宝厳寺(ほうごんじ)本堂までは急な石段である。

本堂にお詣りしたあと、本堂前の一段高いところにある三重塔と宝物館、そこから下って観音堂、秀吉の御座船を再利用したといわれる舟廊下、竹生島神社(都久夫須麻神社)、神社の拝殿から拝観入口に戻るというルートが一般的である。

 

竹生島宝厳寺

 

 

拝観料

拝観料(入島料)は600円だが、宝物殿入館には別に300円が必要。

 

 

お寺や仏像のいわれなど

琵琶湖には4つの島がある。最大の島、沖島(近江八幡市)は日本で唯一淡水湖にある有人島だそうだ。竹生島は二番目に大きく、古くから神の島として信仰を集め、古刹・宝厳寺は西国札所30番となっている。しかし無人島であり。お寺の人もお店の人も島外から通ってくるのだという。

島全体が1つの花崗岩でできているが、伝承によれば伊吹山の神様とその姪の浅井姫命が背の高さを競い、負けた伊吹山の神が怒って姫命の首を切り落としたその首が竹生島になったという。

 

古来より弁才天と観音の信仰厚い島であり、宝厳寺の本堂の本尊は秘仏の弁才天像。観音堂の本尊の千手観音像も秘仏である。

宝物殿にはお寺に伝わるさまざまな仏像、仏画が展示されている。大小の八臂の弁才天像(15世紀)や平安時代の古様な不動明王坐像など。

 

ここで紹介する聖観音像も平安時代の作である。宝厳寺開山堂に伝わった像といい、破損して、本堂(弁天堂)の後陣に安置されていたのを近年修復がなった。

東京藝術大学の美術館で行われた湖北の仏像彫刻の展覧会や、かつて上野にあったのびわ湖長浜KANNON HOUSEに出張されていたこともある。

 

 

拝観の環境

ガラスケースごしに、よく拝観することができた。

 

 

仏像の印象

像高約70センチ、割矧ぎ(わりはぎ)造。

まげを小さめに結い、顔は丸顔で、やや上向き加減に顔を若干上げているような印象がある。

額を小さく、目鼻を中央に集め、小鼻、鼻の下、口は小さめにまとめる。可憐な像である。平安時代の美意識を反映した像と思う。

左手で蓮華をとり、右手はこれに近づける。ほぼ直立する。下半身を長くし、衣のひだは薄い。

 

 

さらに知りたい時は…

「びわ湖・長浜のホトケたち」Ⅱ(展覧会図録)、長浜市発行、2016年

『びわ湖・長浜のホトケたち』、長浜市・東京藝術大学大学美術館、2014年

 

 

仏像探訪記/滋賀県

東京のびわ湖長浜KANNON HOUSEでの展示
東京のびわ湖長浜KANNON HOUSEでの展示