東方山安養寺の薬師三尊像

鎌倉時代後期の堂々たる三尊

住所
栗東市安養寺88


訪問日 
2026年6月19日


この仏像の姿は(外部リンク)
東方山安養寺・境内ご案内図



拝観までの道
JR草津線の手原駅から徒歩約20分。
バスでは、草津駅から帝産湖南交通バス栗東市役所循環線で「栗東中学校前」、またはトレセン西住宅行きで「東部住宅」下車、どちらも徒歩約10分。または同駅より栗東市のコミュニティバス、くりちゃんバス草津手原線で「コミュニティセンター治田(はるた)東」下車。このバス停はコミュニティセンターの敷地内にあり、北側の道へ出て、西へ数分行くと安養寺の入り口がある。

拝観は当日でもお願いできるが、お寺のご用事などで不可となることもあるので、事前に申し込んでおくのが良い。


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
奈良時代に良弁上人によってはじまり、空海により真言宗寺院となったというが、平安時代前期、藤原冬嗣の創建ともされる。その後衰退するが、鎌倉時代に復興。薬師堂本尊はその時期の作である。
室町時代には9代将軍足利義尚が六角氏を討つために自ら出陣した際に陣が置かれたこともある。短期間のことだったが、軍の駐留によって堂や経文類が壊されたりしたそうだ。さらにそのあと戦国の兵火で焼かれて、一時は本尊を安置する小堂のみになってしまったという。
江戸時代前期から中期にかけて復興。壇上の両脇に安置される十二神将像はこの時期の作で(1692年)、勇壮な動きの中に気品もある優れた近世彫刻である。


拝観の環境
薬師堂(本堂)と観音堂、庭園を拝観、見学することができる。薬師堂、観音堂は堂内で拝観できる。


仏像の印象
薬師三尊像の中尊、薬師如来像は像高約140センチの坐像なので、半丈六仏ということになる。寄木造、玉眼。
肉髻は低く、螺髪の粒は大きく、髪際は正面でやや強いカーブを描く。鎌倉時代後期の像の特色をよく備える。眉は高々とあげ、目鼻立ちは整う。
上半身は大きく、お腹のところに内側に着ている薄い衣見せる。衣の線はなかなか賑やかである。
脇侍の日光、月光菩薩は像高およそ170センチの立像。中尊に比べると地味な印象だが、長身でプロポーションがよい。

その他、薬師堂の須弥壇の斜め後ろには平安時代後期の様式の阿弥陀如来立像が安置されている。
また、中尊の前に小さな厨子があり、その中の中尊としてまつられている薬師如来の小像はお堂の本尊の薬師三尊像中尊の像内より江戸時代の修理時に見出されたものという。


観音堂の仏像
観音堂の本尊は聖観音像。その左斜め前の毘沙門天像、これらも平安時代後期ごろの作である。
向かって左側の間には愛染明王像や大黒天像などの仏像が安置されている。
大黒天像はほぼ3頭身で、肥満した体躯。片足を前に出す姿から「走り大黒」と呼ばれる。室町時代頃の作で、伏見稲荷の旧愛染寺に伝わった像という。


その他
薬師堂の前に立つ石塔(十三重塔だが、一部失われている)も鎌倉時代の作。四仏や二比丘の像が浮き彫りされている。


さらに知りたい時は…
『東方山安養寺の歴史と美術』(展覧会図録)、 栗東歴史民俗博物館、1994年


仏像探訪記/滋賀県