多田幸寺の薬師如来像

偉大な存在感

住所
長浜市田村町338


訪問日 
2020年2月8日


この仏像の姿は(外部リンク)
滋賀・びわ湖観光情報



拝観までの道
多田幸寺(ただこうじ)は米原駅から北陸本線で2つめの田村駅下車、東へ徒歩約10分。滋賀文教短短期大学の北側にある。
毎年2月8日に「初薬師」の行事が行われ、その際に地域の方を対象とした開扉が行われている。
問い合わせ先は長浜観光協会。

長浜観光協会・多田幸寺


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
平安時代前期に天台宗寺院として開創されたが、今は臨済宗の寺院となっている。
普段は無住で、檀家の数も少なく、実質地域の方が守っているそうだ。
本尊は秘仏の薬師如来像で、50年に1度の開帳仏とされている。


拝観の環境
筆者がうかがった2020年の場合だが、長浜観光協会に事前に問い合わせたところ、この日の13時から14時に法要、本尊の開扉を行うが、それはあくまでこのお寺を守ってくださっている地元の方が対象であり、一般に開かれたものではない。だたそ、その終了後30分間程度一般参拝者もお詣りできるということであった。その時間にうかがったところ、お話どおり、拝観することができた。

薬師如来像は本堂奥に接続する収蔵庫に安置され、庫内でよく拝観させていただけた。


仏像の印象
薬師如来像は像高約80センチの坐像。カヤの一木造。
骨太というか量感豊かで存在感があり、すばらしい。しかし、それでいて威圧的な雰囲気がなく、誇張した表現に陥っていないところがとてもよい。

顔は傾けず正面を向くが、目は伏し目がちとする。肉髻は大きいが、あまり高々とはしない。額は大きめに、また、眉は高々とはあげないが、目との間隔を取り、まぶたのかすかなふくらみもあらわされている。
ほおもあまり張らず、小鼻のまわりや口もと、こめかみ、人中など、微妙なラインがきりりとした顔立ちをつくりだしている。
首は短め。上半身は大きく堂々とつくるが、胸やおなかは丸まると張るということはしない。左のわきの下のくぼませ方や上腕、手首にかかる衣が丁寧に処理されている。
突き出した右腕は太く、脚部も堂々としている。足の組み方は右足が上。
衣のひだは丸みを帯びた太い波が多用されている。


さらに知りたい時は…
『わたしの好きな仏さまめぐり』、瀬戸内寂聴、マガジンハウス、2017年


仏像探訪記/滋賀県