牛来寺の薬師如来像

慈覚大師ゆかりの寺に伝わるお薬師さま

住所
栃木市大平町牛久51


訪問日 
2025年6月3日


この仏像の姿は(外部リンク)
とちぎの文化財・木造薬師如来坐像



拝観までの道
牛来寺(牛來寺、ごらいじ)へは、R両毛線、東武日光線の栃木駅から南へ徒歩15~20分。

お寺のすぐ西側には栃木市コミュニティバス(ふれあいバス)大平線の「牛久公民館入口」バス停があり、栃木市駅南口やJR大平下駅から乗って行くことができるが、便数は少なく、歩く方が早い。
拝観は事前連絡必要。


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
天台宗の寺院。慈覚大師円仁を開祖とし、牛に乗った大師がこの地に来たことから牛来寺、またそこからこの地域の牛久という地名が生まれたという。大師は泉を湧かせ、また村で流行っていた疫病を薬師如来をまつることで鎮めたとされ、これが牛来寺のはじまりと伝える。
かつては大きな寺院であったが、明治年間に火災となってほとんどのお堂が焼け、少し離れていた薬師堂だけが残った。以後、これを本堂として現在に至る。
本尊は平安時代の薬師如来像。かつては秘仏で、60年に1度の開帳が定められ、12年ごと、のちには毎年4月8日に半開帳を行っていたという。1990年代になって調査、本格的な修理が行われて面目を一新し、以後、常時開扉となった。


拝観の環境
すぐ前からよく拝観させていただけた。


仏像の印象
薬師如来像は像高約60センチの坐像。上半身はゆったりと大きいが、脚部の左右への張りはそれほどでなく、その分こじんまりとまとまっているような印象がある。
頭部は椀を伏せたような整った形の肉髻、穏やかな顔立ちで、典型的な定朝様の像である。両目は接近し、鼻は小ぶりで、口もとは引き締める。穏やかと書いたが、近くで拝観させていただくと、なかなかに力のある面相にも見えるが、少し離れて拝ませていただくと優しい顔立ちに思えてくるのが不思議である。
ややなで肩。右手は胸のあたりまであげててのひらをこちらに向け、下げた左手はゆったりと右(向かって左)側に向けて、薬壺をとる。手の構えは自然で、優美である。ただし、両手先は後補。
足は左を上にして組んでいる。衣のひだは流麗につくるが、いかにも浅いというのでなく、しっかりと刻まれている。


さらに知りたい時は…
『とちぎの仏像』、北口英雄、随想社、2023年


仏像探訪記/栃木県