清水寺の千手観音像

鎌倉時代後期の基準作例

住所
栃木市大平町西山田3427


訪問日 
2025年8月25日


この仏像の姿は(外部リンク)
とちぎの仏像
栃木市観光協会・清水寺



拝観までの道
栃木市の清水寺(せいすいじ)は晃石山(てるいしさん)の南麓にある。晃石山は400メートル余りの低山だが、東西に連なる「大平(おおひら)アルプス」の中央にあり、人気のハイキングコースらしい。南側には多くのぶどう園が開かれていて、「大平町ぶどう団地」とも呼ばれている。
ぶどう園が連なる一角にあるおおひら歴史民俗資料館の前にコミュニティバス(ふれあいバス岩舟線、ぶどう団地入口経由)の停留所があり、栃木駅南口や岩舟駅からのバス便がある。そこから清水寺まで歩いて20分くらいである。
「おおひら歴史民俗資料館」で下車後、すぐ南側の道を西へ500メートルほど行くと清水寺を示す大きな案内板が出ているので、それに従って北へと向かう。次第に上り坂となり、最後は少々厳しい坂道となる。なお、おおひら歴史民俗資料館の左側の道を上っていくルートもあり、こちらの方が若干近道のようだが、途中道が狭くなるのであまりお勧めできない。


拝観料
拝観料等の設定は特にない。


お寺や仏像のいわれなど
天台宗寺院。奈良時代に行基によって開かれ、平安時代初期に堂塔が整えられたと伝える。以後衰えた時期もあったが、鎌倉時代や江戸時代前期に復興し、現在に至る。
本堂の裏手の高台に観音堂があり、千手観音像が安置されている。「滝の観音」とも呼ばれているそうだ。
像内の体部背面に銘文があり、造像年月日と造立にあたった僧俗の関係者、仏師名が書かれている。しかし、これらの人々についてはほとんどわかっていない。
仏師名として観阿陀仏とあるが、これは観阿弥陀仏の誤記であるのかもしれない。
造像年については鎌倉時代後期の1265年とわかる。これによって本像は貴重な基準作例となっている。


拝観の環境
拝観は扉口から。
お堂の前に懸けられた鰐口の下に立つと、堂内にライトがつくようにしてくださっている。扉の中央にガラスのない格子があり、そこから覗けるが、少し距離があるのと、像の前にもう一枚ガラスがはめられていて、細部までよく見るのは難しい。特に下半身は映り込みのためによく見ることができない。


仏像の印象
像高は約150センチの立像。カヤの割矧ぎ造で、素地。
髪際から測ると約124センチとなり、決して大きな像ではないが、堂々として存在感があるため、計測された像高よりも大きく感じられる。
顔立ちはややクセがあり、面長で、額は広めにし、ほおを長くとる、眉は高々とは上げず、眉と目は接近する。口は小さめ。正面の左右2箇所で天冠台に髪がからむが、控えめな表現にとどめている。
上半身は大きいが、あまり抑揚をつくらず、腹も出ていない。胴は少し絞っている。
脇手は後補、また頭上面も一部を除いて後補である。

左右に将軍地蔵像、毘沙門天像を従える。これらは江戸時代前期に補われたものである。


その他
バス停名にもなっているおおひら歴史民俗資料館は栃木市の施設。下野七廻り鏡塚古墳から出土した舟形木棺が展示されており、巨大なヒノキをくり抜き作られた5メートル半もの長さで、圧倒される。副葬品も合わせて展示されている。


さらに知りたい時は…
『日本彫刻史基礎資料集成 鎌倉時代 造像銘記篇』10、中央公論美術出版、2014年


仏像探訪記/栃木県