普明寺大日堂の大日如来、釈迦如来像

東京文化財ウィークの1日に公開

住所
昭島市拝島町1-10-14


訪問日 
2022年11月3日

 


この仏像の姿は(外部リンク)
あきしま 水と記憶の物語



拝観までの道
普明寺大日堂の最寄り駅は青梅線の昭島駅で、下車後徒歩25分くらい。または、立川駅と拝島駅間の立川バスで、「拝島大師」下車。「拝島大師前」の信号から北側に進むと仁王門がある。
仁王門と大日堂の間には拝島公園があり、公園を突っ切った先の石段をのぼっていくとお堂の前に出る。

東京都では毎年10月末から11月初旬にかけて、「東京文化財ウィーク」が開催されており、その一環で公開される。といっても期間全体でなく、11月3日の11時、13時、15時(2022年の場合)。私は15時の回にうかがったが、時間前に30人ほどが本堂前で待っていた。時間ちょうどにご住職からのお話が短時間あったのち、堂内へと案内された。
11時、13時の回はもっと大勢の方が拝観に来ていたそうで、今後もこの形が続くのであれば、15時の回がおすすめと思われる。


拝観料
拝観料等の設定は特になかった(東京文化財ウィークの一環)


お寺や仏像のいわれなど
普明寺は天台宗寺院で、大日堂は境外仏堂である。同町内だが、300メートルほど離れている。
大日堂本尊は金剛界の大日如来像。10世紀なかばに多摩川の中洲に流れ着いたと伝え、それを、村人がお堂をたてて礼拝したことから、この地域の拝島という地名がおこったと伝えられている。

大日如来像は釈迦、阿弥陀の2如来を従えており、中尊と釈迦如来像は平安時代後・末期ごろの作だが、阿弥陀如来像は江戸時代のものである。
これらの仏像は2016年から2021年にかけて修復され、今回の特別公開が修復後はじめての一般公開であった。


拝観の環境
お堂は江戸時代の再建。内外陣を区切る密教本堂の形式だが、内陣に入れていただき、たいへんよく拝観できた。
ご住職からはお堂の説明などもあり、質問にも気軽に答えてくださっていた。


仏像の印象
大日如来像は像高約160センチの坐像。これだけの大きさの像が割矧(わりは)ぎ造でつくられているのは、例がないわけではないが、珍しいといえる。
胸や腕がたくましく、智拳印を結ぶ手の様子からも像に安定感が感じられて、魅力的である。
眉をあげ、あごは引き締まって力強い。脚部は左右によく張る。衣のひだはほぼ等間隔に、しっかりと刻まれている。

釈迦如来像は、像高約90センチの坐像。人の背丈よりも若干大きくつくられているが、大きな大日如来像の脇に座っているために、小柄に見える。
全体にすっきりとした姿の像である。鼻、口の間は狭く、ほおはそれほどは張らず、なで肩。衣は美しい流れを見せ、ひだを浅く刻む。
施無畏・与願の印をあらわす。脚部はあまり左右に張らない。


その他
大日如来像に向かって左側に安置される阿弥陀如来像は、像内銘により1692年の造立で、仏師は大前兵部と知られる。

仁王門の金剛力士像は3メートルを越える大きな像で、像内には銘文があり、阿形像は1314年に、吽形像はその翌年の1315年につくられたことがわかる。


さらに知りたい時は…
『東京都指定史跡大日堂境域及び日吉神社境域大日堂・仁王門保存修理工事報告書』、文化財建造物保存技術協会編、普明寺、2005年
『昭島市内の指定文化財(改訂版)』、昭島市教育委員会、1993年


仏像探訪記/東京都