五百羅漢寺(羅漢寺)の鉄造如来像

  羅漢さんの寺にひっそりと伝わる鉄仏

住所

目黒区下目黒3−20−11

 

 

訪問日

2007年5月21日、 2015年2月28日

 

 

 

拝観までの道

東急目黒線の不動前駅で下車し、北西方向に10分ほど歩いたところにある。

近くまで来ると、電柱に掲示された看板が誘導してくれるのでわかりやすい。

目黒駅からも歩ける距離である。

 

 

拝観料

300円

 

 

お寺のいわれ

羅漢(阿羅漢)とは、もともとインドで徳の高い修行者のことであった。仏教では最高の悟りに達した修行僧をさす言葉となり、また釈迦の直弟子をこう呼ぶこともある。

 

五百羅漢の群像彫刻が東京にある。知るひとぞ知る、目黒の五百羅漢寺である。

五百羅漢像を彫ったのは、江戸時代前期から中期にかけての時代に活躍した京都出身の仏師、松雲元慶である。

5代将軍綱吉の母桂昌院や台頭しつつあった江戸の大商人の援助を受けて、彼は五百羅漢像と諸仏像あわせて五百数十体を彫り上げ、現在の江戸川区の地に五百羅漢寺を創建してこれらを安置した。江戸名所図絵にも描かれ、江戸っ子の信仰を大いに集めたというが、近代以後次第に衰微し、20世紀初頭に現在の地に移ってからは、羅漢さんたちは雨露をやっとしのげるという程度の環境に長くおかれた。

そうした歴史の中で一部の像は失われ、今は300体ほどになってしまった羅漢さんたちだが、現在は1981年に完成した近代的なお堂(羅漢堂、本堂)に安置されている。

 

 

拝観の環境

本堂を出ると、順路として聖宝殿(しょうほうでん)に入る。宝物館とみやげものコーナーであるが、ここに鎌倉時代の鉄仏があることは、あまり知られていない。

ガラスケースの中に安置され、すぐ前まで寄って見ることができる。

 

 

仏像の印象

高さ30センチあまりの小像で、表面は荒れがひどく、何の表示もないので、うっかり素通りしてしまいがちである。

胸板が厚く、立体感が非常に豊かで、堂々とした像である。作りにくい鉄の仏像のためなのだろう、鋳込みの段階でずれが生じ、表情等ははっきりしないのが残念である。

如来形の坐像で、右手は手の甲をこちらに向けている印相なのが珍しい。降魔印(釈迦が悟りを妨げようとする魔物に打ち勝ったことを示す印相。日本では珍しい)なのかもしれない。

 

 

その他

本堂では、釈迦像を中心にして、羅漢さんたちが説法を聞いているような演出(実際に説法のCDが流されている)で彫像が並べられている。その様子をイラストレーターのみうらじゅんはコンサートに例えているが、言い得て妙である。

 

五百羅漢寺のホームページ

 

 

もっと知りたい時は…

『お寺で遊ぶ 東京散歩』、吉田さらさ、新宿書房、2006年

『秘見仏記』、いとうせいこう・みうらじゅん、中央公論社、1995年

『鉄仏』(『日本の美術』252)、佐藤昭夫編、至文堂、1987年

『日本の鉄仏』、佐藤昭夫ほか、小学館、1980年

 

 

仏像探訪記/東京都