日光寺の阿弥陀如来像

宝冠をつけた阿弥陀さま

住所

糸魚川市日光寺377

 

 

訪問日 

2018年5月18日

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

糸魚川観光ガイド 文化財・伝統芸能

 

 

 

拝観までの道

糸魚川駅前からえちごトキめき鉄道線の梶屋敷駅前を通って笹倉温泉、焼山温泉まで行く糸魚川バス早川線(頚城自動車)に乗車し、「下早川小学校入口」下車。

下車後、バス通り(県道270号)から一本南側の道に入り、バス停名にもなっている下早川小学校の前を東南へと進むと、左手にまず秋葉神社、その先に日光寺観音堂の前に出る。日光寺は神輿をぶつけあう「けんか祭り」(4月第三日曜日に実施)で知られ、その舞台となるのがこの観音堂だが、そこは通り過ぎて、その先に日光寺本堂への入口がある。バス停から500メートルくらい。

 

拝観は事前連絡必要。

 

 

拝観料

志納

 

 

お寺や仏像のいわれなど

奈良時代、行基の開創と伝える。真言宗寺院で、本尊は胎蔵界の大日如来。

 

 

拝観の環境

本堂の裏手の収蔵庫に、阿弥陀如来像と脇侍としてまつられている十一面観音像、勢至菩薩像が安置されている。

堂内近くより、よく拝観させていただけた。

 

 

仏像の印象

阿弥陀如来像は像高約90センチの坐像。珍しい螺髪で宝冠という姿をしている。手は定印を結ぶ。

低い冠の上部に肉髻の先端が見えている。天冠台を着け、その下に粒のそろった螺髪がある。

衣は通常の如来のものだが、右肩に枝分かれでもしたかのように衣の先があるのがおもしろい。衣をぐるりと巻いた一番先がここまできているという表現なのであろうか。

 

宝冠の阿弥陀といえば、天台系の常行堂本尊としての像があり、まげを高く結った姿であるが、本像は螺髪であるのが異なる。別に、紅頗梨弥陀(ぐはりみだ)と呼ばれ、真言宗において「紅頗梨秘法」の本尊としてまつられた宝冠の阿弥陀像があるといい、本像はその珍しい遺例である可能性がある。

 

いかにも平安時代中期から後期にかけての古像のおもむきがある。しかしよく見ていくと、おしゃれな天冠台、額を狭くし、眉を上げ、小鼻や口を小さくして、体を巻く衣のひだの彫りがよく整い、心地よい流れを見せているところなど、洗練された雰囲気のある像である。

左胸の衣には渦巻きのような文を刻んでアクセントとする。腹はあまり出さず、上半身は高くつくり、すっと背筋を伸ばして座る。

 

 

十一面観音像と勢至菩薩像について

十一面観音像は阿弥陀如来像に向かって右側に立ち、像高約165センチの立像。内ぐりのない古様なつくりで、前面に長いひび割れが入っていて、やや痛々しく感じられる。化仏はすべて失われているが、ほぞ穴が残っており、十一面観音像であるとされている。平安後期の作と思われる。

ほぼ直立し、体の厚みもあまりないが、斜めから見ると側面は意外に豊かなカーブを形づくっている。全体に素朴さが支配し、しかし同時に穏やかさ、神秘性、力強さなどが感じられる不思議な仏像である。天冠台、まげ、高くあげない眉、切れ長にしない目はそれぞれ素朴な魅力がある。鼻から顎にかけてのラインは力強い。

怒り肩で、胴は絞る。衣の線は、深くはないがしっかりと刻まれる。

全体の雰囲気として鉈彫り仏として知られる水保観音堂の像を思い起こさせる。

 

合掌する姿の勢至菩薩像は、像高約160センチの立像。若者のような顔立ちとややずんぐりした体形の像である。

樹種は阿弥陀如来像と十一面観音像はケヤキだが、勢至菩薩像はヒノキという。おそらく勢至菩薩像は他の2者よりあとの時代のものなのであろう。

 

 

さらに知りたい時は…

『新潟の仏像展』(展覧会図録)、新潟県立近代美術館ほか、2006年

『阿弥陀如来像』(『日本の美術』241)、光森正士、至文堂、1986年6月

 

 

仏像探訪記/新潟県