明星輪寺の地蔵菩薩像

山寺に伝わるやさしい表情のお地蔵さま

住所
大垣市赤坂町4610


訪問日 
2022年11月4日


この仏像の姿は(外部リンク)
真言宗金生山明星輪寺ホームページ(文化財)



拝観までの道
明星輪寺(みょうじょうりんじ)は、金生山(きんしょうざん、かなぶやま)の山頂にあるお寺である。
最寄り駅は東海道線の支線の美濃赤坂駅。または大垣駅前から名阪近鉄バス赤坂線(消防赤坂分署行き)で「虚空蔵口(こくぞうぐち)」下車。
バス停「虚空蔵口」から北へ入るといきなり急な坂で、それがかなり長く続く。道のりとしては1キロ余りだが、かなり大変である。ただし道は整備されたものなので、ゆっくり行けばよい。(美濃赤坂駅はバス停「虚空蔵口」の南、500メートルくらい。この間の道は平坦)
地蔵菩薩像の拝観は事前連絡必要。


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
金生山は伊吹山系の南端に位置する標高200メートルほどの山で、石灰岩、大理石の産出地として知られ、化石も多く発見されている。明星輪寺への途中にはの化石の博物館もある(金生山化石館)。また、周囲は石灰岩の採掘場が盛んに稼働しており、明星輪寺があるあたりを除く金生山の山容は採掘によって削られて、すっかり変わってしまったという。
金生山地区では、かつては銅、鉄やベンガラも採れたのだそうで、古くから鉱山および奇岩への信仰があった地のようだ。明星輪寺の境内から一段上がった所にも奇岩の公園が整備されている(金生山岩巣公園)。

また、お寺からの眺望はなかなかのものである。

創建は、山岳信仰の寺院らしく、役行者によるとされている。
本尊は虚空蔵菩薩で、秘仏。明星輪寺は赤坂虚空蔵ともよばれ、日本3大虚空蔵の1つなのだそうだ。
本堂は巨岩に寄り添うように建てられ、本尊は岩窟の中にまつられている。

1148年の落雷のための火災ののちしだいに衰退し、1609年、美濃高須城主徳永氏によって再興が果たされたという。真言宗寺院。


拝観の環境
地蔵菩薩像は収蔵庫に安置される。扉口からの拝観。
筆者の場合、11月の15時ごろであったので、やや日がかげってしまった。もう少し早い時間の方が光がよく入ってよいかもしれない。


仏像の印象
寄木造、彫眼。像高は約85センチ。
左手に宝珠、右手に錫杖を持ち、右足は前に外して、左足を踏み下げる形である。お腹に紐の結び目も見せる。
顔立ちはきわめて穏やかで、衣の流れも美しく、調和のとれた定朝様の仏像といえる。姿勢よく、半眼の目はやさしく、小鼻、口は小さめにつくられている。


その他
仁王門の金剛力士像は鎌倉時代頃の作。


さらに知りたい時は…
『虚空蔵菩薩信仰の研究 日本的仏教受容と仏教民俗学』、佐野賢治、吉川弘文館、1996年
『岐阜県の仏像』、岐阜県博物館編、1990年
『岐阜県の文化財』、岐阜県文化財保護協会編、1988年


仏像探訪記/岐阜県