常福寺の阿弥陀如来像

  流転の美仏

住所

砺波市大窪50

 

 

訪問日 

2009年10月18日 

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

とやま学遊ネット・木造阿弥陀如来立像

 

 

 

拝観までの道

城端線の油田(あぶらでん)駅から東へ徒歩15分くらい。

拝観は事前連絡が必要。

 

 

拝観料

志納

 

 

お寺や仏像のいわれ

浄土真宗のお寺で、江戸前期の17世紀前半に開創。

このお寺の阿弥陀如来像は鎌倉時代の作。もとこの地域の領主だった神保氏から尊崇厚かった久遠寺(九品寺とも)の仏像であったが、上杉謙信の兵火を逃れて、中宮社(この寺に近い神明社の通称)に移り、その神体としてまつられていた。近代の神仏分離によって、この常福寺に入ったとのこと。

近代初期、本山の東本願寺によって「湛慶作」との鑑定がなされたそうだ。

 

 

拝観の環境

阿弥陀如来像は境内に入って右手、収蔵庫に安置されている。厨子中なので、正面からのみだが、間近でよく拝観できる。

 

 

仏像の印象

像高約80センチの立像。ヒノキの寄木造、玉眼。来迎印を結ぶ。

大きな像ではないが、スケールの大きさのようなものを感じる像である。

やや細長い顔は、茫洋として大像のおもむきである。左足を若干前に出すが、それによる肉体のひねりや衣のゆらぎはあまり強調せず、特に下半身はすっきりとした衣文線で構成している。衣には切り金も残る。襞の彫りはかなり深い。

袖から垂下する衣は薄くつくられ、何重にも折れ曲がりながら下がってゆくさまはすばらしい。

鎌倉初期、快慶が得意とした像の形であるが、またひとつ違った味わいを出しているように思える。

 

 

さらに知りたい時は…

「砺波市常福寺阿弥陀如来立像の造立背景に関する一試論」(『日本宗教文化史研究』11巻2号)、杉﨑貴英、2007年11月

『礪波市史 資料編4 民俗・寺社』、礪波市史編纂委員会、1994年

『砺波市の文化財(増補)』、砺波市文化財保護審議会、1983年

 

 

→  仏像探訪記/富山県