高雄寺の観音・薬師像

  収蔵庫安置の平安仏2像

住所

葛城市新在家6(高雄寺)

葛城市新在家158(明円寺)

 

 

訪問日 

2011年7月17日

 

 

 

拝観までの道

當麻寺の北側にあるお寺。最寄り駅は近鉄南大阪線の二上神社口か当麻寺。

無住で、すぐ北にある明円寺(明圓寺)というお寺が管理している。

拝観は明円寺に事前に申し込むこと。

 

 

拝観料

志納

 

 

お寺のいわれ

役行者が開創し、院政時代には御願寺であったとされるが不詳。また、「高尾千軒」といったほど大きなお寺だったと伝わるが、今は収蔵庫と鐘楼を残すのみである。 

かつては真言系のお寺だったらしいが、現在は浄土真宗。

 

 

拝観の環境

収蔵庫内で間近より拝観させていただける。

 

 

仏像の印象

向って左側に安置されている聖観音像は、像高約1メートルの立像。

やや低いまげにはいくつかくぼみがついていて、かつてはここに頭上面がのった十一面観音だったと思われる。そのほか、両手先、両足先、垂下する天衣は後補。

素朴な力強さが魅力の像である。丸顔にややつり上がった目、肉厚な耳、切れ込みを入れてあらわした額の生え際など。腰を絞るとともに左へとひねり、右足を遊ばせる体勢も、どことなくぎこちない。

下肢の衣の線は太く、平安前期の遺風を伝えるが、体の厚みはそれほどでもなくて、造像年代が平安中期から後期にかけてのものと見当がつく。

 

向って右側の薬師如来像は、像高約80センチの坐像。

ケヤキの一木造ということだが、年月を経てきた風格が加わって、金属でできているかのような不思議な風合いをかもし出している。

目はつり上がり、力強い表情だが、迫力よりも親しみやすさを感じる。眉や首・肩、左右の胸のふくらみなどでやや左右対象が崩れ、地方仏らしい大らかな魅力がある。脚部の左右への張り、足裏や膝の厚みなど、力強い。

 

 

その他

収蔵庫内には、上記のほか役行者像が安置されている。2鬼を従え、岩窟内に腰掛ける姿で、素朴な像だが、鎌倉末期の1319年の作とわかる貴重な作例。

 

 

仏像探訪記/奈良県

聖観音像
聖観音像