称名寺の阿弥陀如来像、釈迦如来像
5月15日の珠光忌に公開

住所
奈良市菖蒲池町7
訪問日
2025年5月15日
この仏像の姿は(外部リンク)
カンテレ・ほとけんさく
拝観までの道
近鉄奈良駅から北西に徒歩5分強。またはJR奈良駅から北東に約15分。
侘茶の祖、村田珠光ゆかりの寺として知られ、毎年5月15日の珠光忌に一般公開される(10時から15時まで、13時より法要)。
*称名寺ホームページ
外陣にてお坊さんの解説と拝観時のご注意をお聞きして、内陣にて拝観させていただくことができた。
拝観料
1500円(客殿での抹茶接待含む)。
お寺や仏像のいわれなど
西山浄土宗の寺院。元は興福寺別院であったという。北側にあったので興北寺と呼ばれたこともあったそうだ。
須弥壇上の中央には秘仏の阿弥陀如来立像の厨子が置かれている。新住職の就任時にのみ開かれるとのこと。
拝観の環境
秘仏のお厨子の左右に阿弥陀如来像、釈迦如来像が安置されている。
内陣は浄土の世界にならい華やかに荘厳されており、説明された注意事項に従って気をつけながら進む。近くより拝観できる。
仏像の印象
阿弥陀如来像(向かって左)、釈迦如来像(向かって右)はともに像高90センチ弱の坐像。平安時代後期~末期の像である。
印相は異なるが、ほぼ同時代で同じくらいの大きさの如来坐像である。しかし、像の雰囲気はかなり異なる。
阿弥陀如来像は、両手を胸の前に出す説法印を結んでいる。
張りのあるほおで顔は丸々として、目は伏し目がち、顎は小さめ。いかにも優美な定朝様の仏像という印象である。椀を伏せたような大きな肉髻に螺髪の粒もとてもよく揃う。衣のひだは浅く、流れるような線を描く。
施無畏、与願印の釈迦如来象は、顔はそれほど丸々とせず、目は若干開いて、顎はしっかりとつくる。阿弥陀如来像の円満な顔立ちと比べて、ややクセのある風貌である。螺髪や肉系の盛り上がりも、典型的な美しさ、整い方の阿弥陀像とはちょっと違っている。右の脇腹を見ると胴が引き締まって見える。
脚部の衣は等間隔で面白みにかける部分がある一方、上半身から組んだ足の中央部に下がる衣は左右対称を破っている。また、左腕の衣は腕をしっかりと巻いている感じを出し、面白い。
これら両像の差は仏師の違いであるのか、あるいは時期のずれによるものなのだろうか。引き締まった体、調和した姿を越えようとする感覚を持った釈迦像の方が少しあとに作られたということなのかもしれない。
その他
称名寺には他に地黄菩薩立像、増長天立像、薬師如来立像の3体の平安、鎌倉仏が伝来しているが、奈良国立博物館に寄託されている。
さらに知りたい時は…
『仏像めぐりの旅2 奈良 奈良公園・西ノ京』、毎日新聞社、1992年
→ 仏像探訪記/奈良市