大林寺の十一面観音像

今はなき永興寺から移されてきた像

住所
松原市北新町1-10-5


訪問日 
2023年12月10日


この仏像の姿は(外部リンク)
松原市指定有形文化財 大林寺 木造十一面観音立像



拝観までの道
近鉄南大阪線の布忍(ぬのせ)駅下車、北西に徒歩5分。
拝観は事前連絡必要。


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
大林寺は融通念仏宗の寺院。
西除川(にしよけがわ)のほとりにある。川をはさんで布忍神社があり、この神社に須佐之男命を招いたときに白布を敷いたことが布忍の名のおこりと伝える。
神社に隣接して布忍寺(永興寺、ようごうじ)というお寺があったが、1873年に廃寺となった。今、大林寺に伝わる十一面観音像は、もと永興寺に伝わった像である。
ただし、大林寺の十一面観音像が永興寺創建時につくられた本尊であったと考えるのは無理がある。永興寺は鎌倉時代に叡尊が再興した真言律の寺院であったが、創建は東大寺の別当もつとめた永興律師によるとされ、その年代は近世の史料によれば1089年という。これは定朝の没後30年以上たつころであり、大林寺の十一面観音像は様式、構造からこれをさかのぼると考えられるからである。本像の造像の事情についてはなお不明と言わざるを得ない。


拝観の環境
十一面観音像は大林寺本堂内、向かって左側の間の厨子中に安置される。
堂内近くよりよく拝観させていただける。


仏像の印象
像高約170センチの立像。一木造で、背中からくりを入れる。樹種はヒノキという。光背、台座、頭上面、手先などは後補。
顔立ちは、眉はあまり高く上げず、目は切れ長にせず、誇張を避けた整った表情である。穏やかだが、見る角度により印象が変わるように思われ、魅力的である。
体はほぼ直立するが、右足をわずかに遊ばせ、それによって生じる衣や天衣の動きが控えめにあらわされている。なで肩で、豊かにつくられた胸は、木なのに弾力があるように感じられる。上腕にはアクセサリー(臂釧)が彫り出されている。
胸の下で胴を絞るが、お腹はそれほど量感をあらわさない。下半身も正面からはそれほどどっしりとはしていないように感じられる。
裙は折り返され、足を横切る天衣の形とともにリズム感がある。裙の上に細い腰布を着けているようである。
両足の間には渦巻の文がひしゃげたようにしてあるのは、平安時代前期の様式が崩れたものか。量感を残しながらも、それほどでもなく、彫りも浅めになっていることなどから、平安時代前期の彫刻の風を残した平安中期ごろ(10世紀後半~11世紀前半)の作と考えることができそうである。

なお、本像は2009年に松原市指定有形定文化財第1号として指定を受けた。


さらに知りたい時は…
『河内国布忍寺(永興寺)の調査研究』(『松原市史資料集』14)、松原市史編さん室、1983年
『松原を紀行する 史跡と文化財』、西田孝司、1981年


仏像探訪記/大阪府