大乗坊の毘沙門天像

凛々しい前立ち像

住所
大阪市浪速区日本橋3丁目6-13


訪問日 
2016年6月4日



拝観までの道
大阪のまちなか、日本橋駅やなんば駅から徒歩で行けるところにあるお寺。
一番近いのは南海電鉄終点の難波駅で、東出口を出て東方へ徒歩3~5分。
地下鉄や近鉄の日本橋駅からは南へ徒歩6~7分。

門を入るとすぐに本堂。扉を開けて入ると外陣まで上がって拝観できる。


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
真言宗の寺院。
もとは四天王寺の北東にあった宝満寺の子院であったが、戦国・桃山時代の戦火にあい、この大乗坊だけが難波に移り再興されたという。堂島の米問屋の帰依などで江戸時代には隆盛であったが、20世紀半ばの戦災ののちは現在のような比較的小さな規模の寺院となっている。

本尊は秘仏の毘沙門天像。
本堂の正面に大きな厨子があり、その中に秘仏本尊と中立ち本尊が安置され、その前に前立ち本尊が置かれている。そのすべてが毘沙門天像である。

本尊の厨子は2013年度に大阪市の指定文化財となった。
1914年に本堂を再建した際、レンガ造の厨子を本堂に組み込んだもので、耐火式の厨子として最も古いもの。これによって中の仏像は1945年の空襲の被害を免れることができたという。


秘仏の毘沙門天像の開扉は年2度で、5月と11月の各第2日曜日。
一方、前立ちの本尊はいつでも拝観することができる。


拝観の環境
外陣からの拝観となるので、距離がややある。一眼鏡などがあるとよい。


仏像の印象
前立ち本尊の毘沙門天像は中世の作で、像高は約1メートルの立像。
左手を上げて戟をとり、右手は腰につける。宝塔を持たない比較的珍しい姿の毘沙門天像である。

邪鬼を踏まえる。左足を半歩横に出すが、体をひねったり膝を曲げたりということがなく、すっくと立つ姿勢が心憎いばかりである。
顔は小さく、口は閉じて、威圧感ある表情がまた魅力的と思う。
体を覆う鎧もシンプルな表現で、装飾が少ない。胸を守る部分が左右に分かれて舌のような形をしているのも面白い。


その他(妙香院の兜跋毘沙門天像について)
大阪の市中にはこのほかにも毘沙門天の古像を伝えるところがある。

北区の妙香院というお寺は東梅田駅から東へ7~8分くらい。現代的なコンクリートの建物のお寺で、ご門から入れさせていただくと、すぐ右手に毘沙門天をまつるお堂がある。ガラス越しの拝観。

地天のてのひらに乗る兜跋毘沙門天である。一木造で重量感があり、古様な印象がある。像高は80センチ強。あまり動きがなく、ほぼ直立する。
円筒形の宝冠をつける。目鼻は中央にあつまり、眉をつり上げ、目を強く見開く。ぐっと噛みしめた口の様子から内に秘めた力が伝わってくる。
鎧の様子も素朴で、腰を太くして安定感を出す。


さらに知りたい時は…
「秘仏巡礼」5(『大法輪』72巻12号)、白木利幸、2005年12月


仏像探訪記/大阪府

大乗坊前立ち本尊
大乗坊前立ち本尊