正善寺収蔵庫の大日如来像

最古の大日如来在銘像

住所
有田市初島町里259


訪問日 
2026年2月24日


この仏像の姿は(外部リンク)
有田市・木造大日如来坐像(正善寺)



拝観までの道
JR紀勢線初島駅より東へ徒歩10分弱。
拝観は有田市の郷土資料館に申し込む。


拝観料
拝観料等の設定はなかった。


お寺や仏像のいわれなど
正善寺は地域の講によって守られているお寺である。かつては金剛寺といい、真言宗であったと伝える。
大日如来像は正善寺境内の収蔵庫に安置されるが、お寺を離れて市の管理となっている。


拝観の環境
収蔵庫内近くよりよく拝観させていただけた。


仏像の印象
像高は約80センチの坐像。ヒノキの割矧ぎ造で、忍者がドロンする時のような手の組み方をしており、金剛界大日如来像とわかる。
古い写真を見ると後補の表面に覆われ、顔など面を付けたような不自然さがあるが、それが取られて、安定感のある落ち着いた姿となっている。
目鼻口は穏やかな雰囲気で、手を組んだ構えも実に安定感がある。後補の冠の後ろには控えめに小さな冠があって、さらにその後ろに低くまげを結う。衣のひだは浅く流れる。
後述のように銘文から11世紀半ばの作とわかっているが、まさしくその時期の穏やかな仏像の雰囲気をよくあらわす。

一方で、顔はやや四角張り、正面から側面にかけてはつながりが若干悪くも感じられ、体も四角い雰囲気がある。また、脚部は低くつくられている。こうした特徴は、在地の仏師の作であることを示すものといえるかもしれない。

台座は後補。光背も後補だが中央部分はある程度古いものであるかもしれない。


銘文について
像内に1062年を指す年を含む銘文があり、貴重な平安時代の基準作例となっている。また、これは大日如来像の銘文としては最古のものである。
銘は3行に書かれ、像内背面の下の方だという。位置から考えて、組み上がってから書いたのではないかとも考えられる。残念ながら、地付に近い下の方の字は読めなくなってしまっている。2行目の下の方に、願主として「僧勢」の下の1文字が読めず、3行目には「仏師僧平」の後の数文字が読みにくい。

「仏師僧」とあるのは、専門仏師が活躍する以前の形態の仏師であることを指すものか。


さらに知りたい時は…
『仏像と神像へのまなざし』(展覧会図録)、和歌山県立博物館、2019年
『大日如来像』(『日本の美術』374)、山本勉、1997年7月
『紀伊路の仏像』(『日本の美術』223)、松島健編、1985年2月
『日本彫刻史基礎資料集成  平安時代・造像銘記篇』2、中央公論美術出版、1967年


仏像探訪記/和歌山県