荘厳寺の十一面観音像

  廃仏毀釈をくぐり抜けた香取神宮本地仏

住所

香取市佐原イ1110

 

 

訪問日 

2006年11月26日

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

荘厳寺・十一面観音立像

 

 

 

拝観までの道

JR成田線の佐原駅から駅前の道を真直ぐ進むと、諏訪神社の参道に出る。急な石段があるが、神社の中を通らせていただくのが荘厳寺(しょうごんじ)への近道である。

駅からは南西の方角で、徒歩で10分から15分のところである。

 

十一面観音像の拝観は、事前(1週間から10日前)に電話連絡が必要で、筆者がうかがった日は、昼前から法事があるのでその前であればと許可をいただいていた。

 

 

拝観料

志納

 

 

仏像のいわれ

像内に江戸時代中期の修理の際の銘札があり、今は廃絶した香取神宮の神宮寺の本尊であったことが分かっている。

住職の話では、廃仏毀釈の際に外に放置されていたという。頭上面はなく、天衣も失われており、また体のあちこちに修理の痕が目立つ。光背や台座も後補である。

 

 

拝観の環境

十一面観音像が安置されている収蔵庫は本堂の後方にある。像は3メートルを越す巨像だが、収蔵庫は十分な広さがあり、全体像がよくわかる。また横からも拝観でき、開け放した扉からの光でよく見ることができた。

 

 

仏像の印象

像はケヤキの一木造で、顔は丸い。体躯はすらりとした感じで、腰のひねりや片足を前に出すしぐさ等はなく、真直ぐに立つ。

横から見ると肉付きは厚く、前からとはまた異なった印象である。手は太く、長い。

衣の襞は深くないが、わずかに翻波式が残る。平安時代中・後期の造像であろう。

十一面観音像としては一般的な姿であるが、頭頂部の円座を重ねたようなつくり(神が寄り付くところである依代を思わせる)や、つり上がった眼、丸く張った面差しは異風であり、神仏習合の像であることを示すという(『日本彫刻史の視座』)。

 

 

さらに知りたい時は…

『日本彫刻史の視座』、紺野敏文、中央公論美術出版、2004年

「荘厳寺蔵 十一面観音菩薩立像」(『国華』1265)、奥健夫、2001年3月

『房総の神と仏』(展覧会図録)、千葉市美術館、1999年

『日曜関東古寺めぐり』、久野健ほか、新潮社とんぼの本、1993年

『解説版 新指定重要文化財3、彫刻』、毎日新聞社、1981年

 

 

仏像探訪記/千葉県