並木神宮寺の仏像

毎年2月18日に開帳

住所
神崎町並木642


訪問日 
2017年2月18日


この仏像の姿は(外部リンク)
千葉県公式観光物産サイト



拝観までの道
神宮寺(並木神宮寺)はJR成田線の下総神崎(こうざき)駅下車、西へ徒歩約10分。
観音堂本尊の十一面観音像は毎年2月18日に開帳される。
事前にお寺に問い合わせたところ、11時から護摩炊きの法要があり、そのあとで拝観が可能ということだった。
11時15分くらいに到着したところ、檀家の方が堂内でお座りになり、ご法要が行われていた。外でお堂の外で待たせていただいたところ、11時40分くらいに終わり、そのあと堂内で拝観させていただいた。


拝観料
特に拝観料等の設定はなかった。


お寺や仏像のいわれなど
神崎町は東は香取市、西は成田市に隣接し、北は利根川をはさんで茨城県となる。千葉県で最も小さな町だそうだ。
駅の北、利根川に近いところに神崎神社がある。もと子松神社といい、六国史の『日本三代実録』に、879年(平安時代前期)に位階を受けたと記録されているというから、とても古い、由緒のある古社である。
並木神宮寺はその神崎神社の別当寺であり、かつては社地内にあったが、江戸時代に山崩れがあり、現在の場所に移ったという(今の位置関係は、神社から丘陵地帯を挟んで、南1キロ余りの場所に神宮寺がある)。


拝観の環境

厨子の上部に布が垂れていて、お顔がよく見えないのは残念だった。


仏像の印象
十一面観音像で、平安時代中期~後期の作。
像高は約160センチの立像で、カツラの一木造。
材木の性質からか、立ち姿がまっすぐでない。また、目のつんだ年輪がはっきりと出ていて、それが魅力ともなっている。衣は浅い彫りながら、ていねいに刻まれている。

向かって右側の外陣に神将形の天部像が安置されていた。
こちらは像高約170センチ。全身で傷みが進み、腕や足先は失われ、目鼻立ちもはっきりとはしなくなっている。しかし堂々とした一木造(クスノキ材)の仏像で、どっしりとした存在感がある。
顔は小さく、衣や鎧の意匠は簡素である。腰の重量感がすばらしい。


その他(香取神宮宝物館の狛犬像について)
下総神崎駅から東に3駅乗ると香取という駅に着く。南へ徒歩25分から30分行ったところに、香取神宮がある。またはひとつ手前の佐原駅からバスが出ている。
香取神宮は全国にある香取神社の総本宮である。江戸時代につくられた立派な楼門を入って正面が拝殿・本殿となっており、その右手に宝物館がある。
拝観料300円を払い入館すると、レトロな展示ケースが懐かしい。
2階にさまざまな神宝が展示されている。中に陶製の狛犬一対の展示がある。鎌倉~室町の時代に尾張の瀬戸で焼かれたものといい、像高約18センチという小さなもの。渋い色の釉が好ましく感じられる。全体に細身で、顎の下のたてがみもかわいらしい。頭部は大きめで、なかなか野趣に富んだ顔つき。阿形は口を大きくあけ、吽形は小首をかしげる。ともに耳は垂らしている。


さらに知りたい時は…
「ほっとけない仏たち」(『目の眼』480)、青木淳、2016年9月


仏像探訪記/千葉県