斑鳩寺講堂の秘仏と宝物館の鎌倉仏

講堂は2月22日、23日に開扉

賑わう境内(後ろの建物が講堂)
賑わう境内(後ろの建物が講堂)

住所
太子町鵤709


訪問日 
2026年2月23日


この仏像の姿は(外部リンク)
太子町・国指定文化財



拝観までの道
太子町(たいしちょう)は新幹線停車駅のある姫路市と相生市の間にある。鉄道駅はなく、交通は姫路駅からのバスとなる。
斑鳩寺(いかるがでら)は太子町西部にあり、姫路駅北口より鵤経由龍野行き神姫バスに乗車し、「鵤(いかるが)」下車、北西に徒歩10分弱。

講堂の三尊像は秘仏で、「太子春会式」が行われる2月22日と23日のみ開扉され、日中拝観可能。
宝物館は事前予約で拝観できる(2月22、23日については事前予約不要)。
筆者は2月23日の午前にうかがったが、境内や参道には屋台がたくさん出て、大いに賑わいを見せていた。また、各地の太子講の方々なのだろうか、大勢で声を揃えて般若心経を読経し、時折法螺貝の音なども混ざり、実に賑やかなお開帳であった。

斑鳩寺ホームページ


拝観料
500円


お寺や仏像のいわれなど
太子町はかつて斑鳩町といい、戦後隣接の村と合併して太子町となった。いずれも聖徳太子ゆかりの地であるところから付けられた地名である。古くよりこの地は法隆寺領であり、その縁によって開かれたお寺が斑鳩寺なのである。
寺伝によると創建は聖徳太子の時代にさかのぼるというが、実際にはもう少し後の時代と思われる。
しかし、戦国時代の戦火のために全山炎上し、その後天台宗寺院として復興を遂げて現在に至る。
講堂の三尊像は、講堂が再建された1556年前後の作と思われる。
宝物館安置の日光、月光菩薩像、十二神将像、仁王像は再興時に他寺から移されて来た像である。


講堂の秘仏三尊
2月の開扉日には聖徳殿というお堂の入り口に拝観受付が設けられ、そのお堂の奥で聖徳太子像を拝したのち、講堂、そのあと宝物館へという順路で拝観する。

講堂にまつられた三尊は中央が釈迦如来像、向かって右が薬師如来像、左が如意輪観音像である。いずれも2メートルを超える大きさの坐像であるが、威圧感はなく、じっくり拝観していると親しみがわいてくる。
釈迦如来像、薬師如来像は左右対称を意識し、飛鳥仏を思わせる。擬古的な像である。
如意輪観音像は2臂で、右手をほおに近づけ、左手を下に付けて、片足を立てる。目を大きく開き、鼻、口も大きく、個性的な魅力がある。
なお、これら三尊の光背、台座は当初のものである。
近くよりよく拝観させていただける。


宝物館の仏像について
1541年(戦国時代)に灰燼に帰したこのお寺を再興したのは、北方にあった円勝寺円光院の僧、昌仙である。この時昌仙は円勝寺の5つの坊を伴って移住し、斑鳩寺を復興したという。聖徳太子以来と伝わる法灯を絶やさないために、元いたお寺から協力者を募ってやってきたということなのだろう。
この時薬師如来、日光、月光菩薩、十二神将、仁王像も円勝寺から斑鳩寺に移された。ところが、その次の世紀、すなわち17世紀にこれらの像は思わぬ苦難に見舞われる。
17世紀前半に薬師堂が再建されたのだが、それから数十年後、どのような事情なのか、このお堂が太子山というところに移された。ところがそれから程なくして暴風雨のため、このお堂は倒壊してしまう。
結局仏像は斑鳩寺に戻ることになるのだが、薬師三尊の中尊の薬師如来像は失われてしまった(現在宝物館に日光、月光菩薩像に挟まれて座っている中尊は近世のもの)。脇侍の月光菩薩像も玉眼を失い、十二神将像は4体が失われて8体が残る。それらは17世紀の暴風雨被害の影響によるものと思われる。
これらの仏像は現在は宝物館(聖宝殿)に安置されており、ようやく安住の場所を得たというところであろう。


宝物館の諸像の印象
日光、月光菩薩像は像高約120センチの立像。ヒノキの寄木造。理知的な顔立ちで、腰をひねり、下半身を長くして、美しい姿勢で立つ。両脇時で衣に変化をつけているのも面白い。頭部をやや斜め下へと傾け、髪はお洒落に結い上げている。
日光菩薩像は玉眼によって生気あふれる表情を見せている。
月光菩薩像の足ほぞに「僧定有」「文永八年(1271年)」との銘文がある。鎌倉時代後期の基準作例として重要である。定有は仏師名かどうか不明。

日光、月光菩薩像と一具と思われるのが、十二神将像である。像高はおよそ100〜120センチ。寄木造。それぞれ体勢や衣、鎧、履き物など工夫をこらすが、表情やポーズに硬さがあり、それが逆に素朴な魅力となっている。
仁王像は像高2メートルのなかなか大きく堂々とした像で、やはり鎌倉時代の作と思われる。


さらに知りたい時は…
『日本彫刻史基礎資料集成 鎌倉時代 造像銘記篇』11、中央公論美術出版、2015年
『新TV見仏記』10(DVD作品)、関西テレビ放送、TCエンタテインメント、2014年
『太子町史』1、太子町史編集専門委員会、1996年


仏像探訪記/兵庫県

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