神應寺の行教律師像

神か人か

住所

八幡市八幡西高坊24

 

 

訪問日 

2016年7月31日

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

八幡の登録文化財

 

 

拝観までの道

京阪本線の八幡市駅から南へ徒歩5分ほど行くと神應寺(神応寺、じんのうじ)の門がある。そこから石段をのぼる。

拝観は事前予約必要。

 

 

拝観料

500円

 

 

お寺や像のいわれなど

このお寺を創建したのは、平安時代前期に活躍した奈良・大安寺の僧・行教という。彼は八幡神を勧請し、石清水八幡宮をこの地に建て、神宮寺として神應寺をつくったとされる。

現在は曹洞宗寺院となっている。

 

 

拝観の環境

本堂内、向かって左側の間の厨子中に、行教の像と伝わる僧形像が安置されている。

お顔が影になってやや暗いが、近くよりよく拝観させていただける。

 

 

像の印象

行教律師像は像高約80センチの坐像。内ぐりもない一木造の像で、平安時代前期の作である。

もと石清水八幡宮の開山堂に安置されていたものを、近代初期の廃仏の時期にここに移したという。

頭を丸めた僧形像で、仏をあらわす首の三道はなく、のど仏らしいものがつくられており、肖像彫刻であるとも見える。しかし、あまりに容貌魁偉であることから神の像であるようにも思える。

 

顔立ち、体のつくり、衣文のすべてに特異さが見てとれる。

顔は四角張り、目鼻口のそれぞれのパーツが大きく、目は釣り上がりぎみにして、こちらを見透かすような独特なまなざしである。耳も大きく力強い。

体は左右の肩幅が異なり、そのために左半身をやや後ろに引き、右半身が前に出ているような錯覚を与える。今にも動き出しそうにも感じられる。

 

足は左を上にして組む。

衣はひだの間隔を狭くして、たいへんにぎやかである。腕や胸元から下がる衣が脚部へ模様をつくりながらかかり、また左肩や左足の下には転回するような文様がみられる。左右の膝のあたりには引っ掻いたような細かな陰刻線が刻まれている。

 

 

その他

行教律師像の近くには豊臣秀吉の像が安置されている。像高40センチ余り、ヒノキの寄木造で、江戸時代の作。

また、本堂から離れた場所にある奥院には、中世作(14世紀ごろ)の矜羯羅童子・制多迦童子像が安置されている。像高150センチ前後の大きな像で、寄木造、玉眼。

 

 

さらに知りたい時は…

『大安寺のすべて』(展覧会図録)、奈良国立博物館ほか、2022年

『神仏習合』(展覧会図録)、奈良国立博物館、2007年

『神応寺文化財調査報告書』、八幡市教育委員会、2001年

「神護寺薬師如来立像と神応寺伝行教律師坐像」(『仏教大学仏教学会紀要』7)、井上正、1999年

「石清水八幡宮と神仏分離」(『日本工芸美術』660)、伊東史朗、1993年9月

『古佛』、井上正、法蔵館、1986年

 

 

仏像探訪記/京都府