三室戸寺の諸像

  毎月17日に宝物館開扉

住所

宇治市菟道滋賀谷21

 

 

訪問日 

2010年10月17日

 

 

この仏像の姿(外部リンク)

三室戸寺・境内・仏像

 

 

 

拝観までの道

三室戸(みむろと)寺の最寄り駅は、京阪宇治線の三室戸(みむろど)駅で、東へ徒歩約20分。

JR宇治駅や京阪宇治駅からは、源氏物語ミュージアムの前を通って三室戸寺まで行ける遊歩道が整備されている(徒歩25〜30分)。

JR奈良線の黄檗(おうばく)駅からバスの便もある(太陽が丘行き京阪バスで「三室戸寺」下車)。

 

京阪宇治バス

 

宝物館は毎月17日のみ開扉され、拝観ができる。

 

 

拝観料

入山料500円+宝物館入館料300円

 

 

お寺や仏像のいわれ

奈良時代末の創建と伝えられるが不詳。西国三十三観音霊場のひとつで、本尊は秘仏の千手観音像。

繰り返し火災にあうものの、阿弥陀三尊像、毘沙門天像、釈迦如来像の5躰の重要文化財の仏像が伝えられ、宝物館に安置されている。

 

 

拝観の環境

毎月17日の宝物館開館だが、時間が決まっている。

9:30、10:30、11:30、13:00、14:00、15:00の6回で、各20分間。

間近で、よく拝観できる。

 

 

仏像の印象

阿弥陀三尊像の中尊は、像高約90センチの坐像。定印。

高い肉髻、整った螺髪、顔つきや体躯はおだやかにまとまり、脚部は左右によく張って安定感がある。平安時代末期の像。

脇侍の観音、勢至像は大和座りで、来迎像であることをあらわす。像高は約1メートルと中尊をこえる大きさで、顔つきも引き締まり、鎌倉時代に入っての像と思われる。

 

毘沙門天立像は左手で戟をとり、右手は腰にあてる。顔は小さめで、その上のまげも小さい。腰はどっしりとしている。全体的には姿勢に無理がなく、静かな中に自然な動きを見せる。平安から鎌倉時代にかけての作と思われる。像高は1メートル余。

 

釈迦如来立像は、像高150センチ余り。衣を通肩に着て、髪は螺髪でなく縄のように巻いている姿で、いわゆる清凉寺式釈迦像である。目は大きく、瞳は黒い石を入れてあらわし、髪は大きくかぶさるよう。衣は細かく襞(ひだ)を刻んで、清凉寺の像を忠実に写した像である。エキゾチックな顔立ちが強い印象を与える。

記録から、寺の中興時である1098年ごろに造られたことが知られ、数多い清凉寺式釈迦像の模刻の中でも最も古い作である。

 

 

観音像の足の裏について

阿弥陀三尊像の脇侍、観音菩薩像は「足裏観音」とも呼ばれている。顔はやや大きく、脚部は小さめで、可愛らしさを感じる像で、正座に近い座り方(跪座、きざ)をしている。

この像の後にまわると、足の指など足裏の一部が衣から出ているのが分かるそうだ。この姿の像では一般に足は衣の中に隠れ、この三尊でも勢至菩薩像の方は足裏は見えていないとのこと。

通常は正面からのみの拝観なので足裏は見えないが、毎年紅葉の季節(11月初旬から12月初旬の約1ヶ月)の土日祝日には、宝物館が特別公開され、その折りには観音像の向きが変えられて、足裏が見えるように向きを変えて安置される(秋の特別拝観・観音様の足の裏を拝する会、三室戸寺ホームページで告知される)。

 

 

さらに知りたい時は…

『京の古寺から7 三室戸寺』、伊丹光恭、水野克比古、淡交社、1995年

『檀像』(展覧会図録)、奈良国立博物館、1991年

『宇治の佛たち』、宇治市歴史資料館、1989年

 

 

仏像探訪記/京都府