聖護院本堂の不動明王像

秋の時期に特別公開

住所

京都市左京区聖護院中町15

 

 

訪問日

2017年11月26日

 

 

 

拝観までの道

聖護院(しょうごいん)は京阪線神宮丸太町駅下車、東へ徒歩約10分。

拝観は、以前は事前申し込み制をとっていたが、2016年より秋の時期に特別公開を行うと改めた。2017年の場合、9月16日から12月10日までの期間だった。

拝観休止日もあるので、事前にお寺のホームページで確認が必要。

ご案内の担当が玄関に待機されていて、1周45分程度でご説明くださる。しかし自分でまわってもよいし、案内を受けてひとまわりしたのち、さらに見てまわることもできる。

 

聖護院門跡ホームページ

 

 

拝観料

800円

 

 

お寺や仏像のいわれなど

修験道の総本山であり、また門跡寺院(皇族・公家が住職をつとめる特定の寺院)であった。

11世紀末、園城寺の増誉によって開かれた。増誉は白河上皇の熊野詣での先達をつとめ、その功を賞せされた。聖護院の寺号は「聖体護持」から2文字をとってつけられたものという。

 

 

拝観の環境

玄関から宸殿(しんでん)を経て、先へ進むと本堂がある。

本尊不動明王像、智証大師像、役行者像が安置される。外陣からの拝観で、やや距離がある。

 

 

仏像の印象

本堂(不動堂)本尊の不動明王像は像高115センチの立像。ヒノキの寄木造。平安時代後期の作。

どっしりと堂々とした像である。頭部は小さく、太い眉をひそめ、目鼻口は中央に集まっているようにつくられている。ほおは張りがある。口は左右で上下に牙を出す。

胸がたくましく厚く、太い腰や肘の張りも力強い。衣は煩瑣でなく、すっきりとまとめられている。

品格のある素晴らしい仏像と思う。

 

本尊に向かって右側の智証大師円珍像は厨子に入って安置されている。像高約90センチの坐像で、平安後期の1143年につくられたものであることが納入されていた願文から知られている。

 

 

その他1(宸殿の仏像)

宸殿は御所の紫宸殿をモデルとしていることから、この名があるそうだ。中心部(内陣)は本来は祭礼用の広間であったそうだが、近代初期に廃絶した末寺から移されてきた仏像が多くまつられている。

壇上に安置されている不動明王像、役行者像、蔵王権現像は、いずれも修験道とかかわりの深い像であり、制作時期は鎌倉時代から近代までさまざま。

近くよりよく拝観することができた。

 

 

その他2(積善院の不動明王像)

積善院(しゃくぜんいん)は聖護院の子院で、聖護院の東側にある。

積善院準提堂とも称する。鎌倉時代創建の積善院と、江戸時代につくられた準提堂が近代になって合併したからという。

本堂(準提堂)の堂内奥のスペースには、江戸時代につくられた準提堂の本尊である準提観音像と、積善院の本来の本尊である不動明王立像がともに安置されている。

拝観は、堂内の外陣と内陣の境のガラス戸越しとなる。やや距離があるので、一眼鏡のようなものがあるとよい。

 

不動明王像は像高1メートル弱。平安時代後期ごろの像である。

小顔でプロポーションがよく、安定した立ち姿の像である。眉を力強く表し、憂いを帯びた顔つきにも見える。

剣をとる右の手は、肘を後ろに引いて動きを出している。

衣は優美にまとい、腰のところで裙の折り返しが風を受けてひるがえる。

 

 

さらに知りたい時は…

『最澄と天台宗のすべて』(展覧会図録)、東京国立博物館ほか、2021年

『聖護院門跡の名宝』(展覧会図録)、龍谷大学龍谷ミュージアム、2015年

『院政期の仏像』、京都国立博物館、岩波書店、1992年

 

 

仏像探訪記/京都市

積善院
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