西盛寺の薬師如来像

どっしりと威厳ある像

住所
伊賀市三田1547


訪問日 
2016年8月1日


この仏像の姿は(外部リンク)
観光三重



拝観までの道
西盛寺(さいせいじ)はJR関西本線、伊賀鉄道線の伊賀上野駅より北東に10~15分の距離にある。
拝観は事前連絡必要。


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
天台真盛宗の寺院である。
もと常住院という大きなお寺があったが戦国時代に焼失し、15世紀末に、天台真盛宗の開祖、真盛上人の弟子の真範尼によって再興されて、西盛寺としたという。

本堂向かって左側の間の耐火式の厨子中に薬師如来像が安置されている。平安前期から中期にかけての像で、以前は本堂横のお堂に安置されていたが、それ以前の来歴は不明らしい。


拝観の環境
厨子のすぐ前からよく拝観させていただけた。


仏像の印象
像高は約60センチの坐像。一木造で内ぐりのない古様なつくり。材はヒノキという。
実にどっしりとして、威厳あるお像である。全体に量感がみなぎっているように感じる。頭部が大きく、胴は胸をそらせて、反り返り気味にも感じる。
しかし顔の各部分は、穏やかで優しい感じである。眉や目、ほおの曲面は自然で、小鼻や口は小さめである。あごも小さめだがしっかりとつくっている。肉髻の立ち上がりも自然な感じ。
やや怒り肩である。衣が肩や胸で折りかえったりうねうねとして、アクセントになっている。腹や脚の部分の衣は太く力強い。
脚部はそれほど大きくないが、しっかりと左右に張る。右足を上にして組んでいる。
両手先は後補。


その他
伊賀上野駅から西北西にある仏土寺というお寺には平安末期(1172年)の銘のある阿弥陀三尊像が伝えられている。しかし、連絡をさせていただいたところ一般拝観は受け付けていないということだった。


さらに知りたい時は…
『三重県史. 別編 美術工芸』、三重県、2014年
『上野市史 文化財編』、上野市、2004年
『月刊文化財』334、1991年7月


仏像探訪記/三重県