光善寺薬師堂の薬師三尊像

4月第1土曜日に開扉

住所
津市片田薬王寺町619(光善寺)


訪問日 
2017年4月1日


この仏像の姿は(外部リンク)
観光三重


拝観までの道
津駅前または津新町駅より三重交通バス平木行きに乗車し「久保」下車、北西に徒歩約10分。光善寺(浄土真宗、創建は15世紀)というお寺の横手に出る。境内には入らずに、さらに北へ進むと、まもなく正面の丘の上にお堂が見えてくる。これが光善寺に属する薬師堂(収蔵庫)である。
光善寺の北数十メートルのところ左側に立つ常夜灯のところから細い道を上っていくと、薬師堂の前にでることができる。

お堂が開扉されるのは年1回だけ。以前は4月8日に開けていたそうだが、今は4月第1土曜日になった。
筆者が到着したのは12時少し過ぎであったが、次々にお供えのお菓子などを持った方が訪れて、心温まるご開帳だった。


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
本来ここには真言宗の薬王寺というお寺があったそうだ。近代初期の廃仏の時期に廃寺となり、光善寺に合併された。今では、薬師堂に安置されている薬師三尊像のほかには、かつての薬王寺を偲ぶことができるものはない。
お堂は耐火式の収蔵庫となっているが、これは伊勢湾台風(1959年)を機に立て替えたのだそうだ。


拝観の環境
堂内、近くよりよく拝観することができた。
照明はないが、南面しているのでよく光が入る。


仏像の印象
中尊の薬師如来像は像高1メートル弱の坐像、脇侍像が像高1メートル強の立像である。
いずれも一木造で、中尊はヒノキだが、脚部はカヤでつくって寄せているという。背中からクリをいれている。

脇侍像はヒノキで内ぐりはないとのこと。

手先など後補部分はあるが、全体的には保存状態はよい。


中尊は大きく力強い胸板と組んだ大きな足が印象的で、実に堂々とした座り姿である。

肉髻の高まりは自然で、額や顎は小さめにつくっている。

眉から目、また口もとの凹凸はていねいにつくられている。顔つきは穏やかで、また味わい深い表情をしている。ほおは張り、また唇は若干前に突き出す。
衣の流れは生気のある表現であると感じる。胸には渦を巻いたような文がある。

脇侍像は直立に近く、ほぼ左右相称で、雰囲気も似る。像高も揃う。しかしよく見ると顔、上半身、下肢について、向かって左の像(月光菩薩像)の方が横幅をとっており、その分重厚な感じがする。
丸顔で頭と体のバランスがよい。


さらに知りたい時は…
『三重県史 別編 美術工芸』、三重県、2014年
『津市の仏像 津市仏像悉皆調査報告書』、津市教育委員会、2004年


仏像探訪記/三重県