百花さんがゆいまくんと出会い、新国宝仏の旅をはじめるに至った経緯

法華寺の本尊、ご開帳のときのことです
法華寺の本尊、ご開帳のときのことです

 はじめまして、百花です。

 ゆいまくんと私の出会いについて、話しますね。
 先日、ちょっとわけありで奈良を訪れました。で、普段の私はお寺とか仏像とか、あんまり興味はないのだけれど、その日はたまたま法華寺を訪れました。
 あ、そうはいっても、ぜんぜん関心がないわけじゃないですよ。法華寺に行ったのもご本尊がとっても美しい観音さまだって知ってたからだし(光明皇后という方がモデルだとか)、修学旅行で行った興福寺の阿修羅像東大寺南大門の仁王、あと平等院鳳凰堂三十三間堂だってよく覚えています。


 法華寺の十一面観音像は、公開時期が決まっているんですよね。厨子の扉が開かれて仏さまにお会いできることをご開帳というそうですけど、ちょうどその時期だったので、超ラッキー。お堂の外は静かで人気がなかったのに、堂内にはたくさん人がいてびっくりしました。みんな熱心に拝観していましたね。
 観音さまは思っていたよりもいっそうお美しくて、とても感動しました。意外だったのは、ほかにもいろいろな仏像がお堂のなかにまつられていたこと。鎧をつけていたり、獅子に乗っていたり、頭だけや体の一部だけが残った像もありましたね。一口に仏像って言っても本当にいろいろあるんですね。
 そんなことを思いながらそれぞれの仏さまにお会いしていたら、いつの間にか時間がたっちゃって、参拝の人もほとんどいなくなってて、私のほかには男性が一人いるだけに。それがゆいまくんでした。


 その時になって、お堂の入口近くの格子戸の中にも像が置かれているのに気がつきました。維摩居士(ゆいまこじ)像と書いてあって、最近国宝の指定を受けたと説明パネルに書かれていました。本尊の十一面観音さまも国宝だから、同格? でも、こちらの像はずいぶん地味な雰囲気で、お年寄りの姿みたい。仏像って仏さまの像のことですよね。この方も仏さまなのかな。


 お寺を出たところで、さっきお堂にいた男の人にまた出会いました。その人、今見てきた維摩居士像にどことなく似ているんですよ。何だかおかしくなって、ちょっと笑ってしまったのがきっかけで立ち話になりました。改めて見ると、お年寄りではなくて、むしろ若い人で、学校の先生か何からしいです。しばらく仏像の勉強から遠ざかっていたけど、たまたまこちらの維摩居士像が国宝指定されたって知って、やっぱり意外に思ったんだって。それで、矢も楯もたまらず来ましたとか何とか。
 話しだしたら長いんだ、これが。それになんだか古くさい言葉を使うし。大体、矢も楯もたまらずって、使う人はじめて会ったわ。あんまり話が切れないから、私、その話の途中でつい口をはさんじゃいました。「ゆいまくん、いったん落ち着きましょうか」って。
 そしたらその人、目を白黒させていましたけど、「まあいいか」みたいな感じで受け入れてくれて、なんかうれしくなって、ゆいまくんがこのあとも近年に国宝となった仏像を拝観してまわるつもりって言うから、ついて行ってみようかなって思いました。


 そんなわけで、私はその人のこと、ゆいまくんって呼ぶようになったんだけど、そうそう、ゆいまくんは時々「言うまでもなく」なんて言うんですよ。「言うまでもなく」って言われてもねえ、私にとってははじめて聞くことばかり。でも、なかなか面白いし、へえーって思うことも多いんです。私が聞いて楽しかった話が、皆さんにとっても面白ければうれしいです。
 というわけで、ゆいまくんと百花が21世紀に国宝となった仏像を訪ねる旅、はじまりまーす。