玖延寺の阿弥陀如来像
末寺から移されてきた客仏

住所
浜松市天竜区二俣町阿蔵524
訪問日
2011年7月3日
この仏像の姿(外部リンク)
拝観までの道
玖延寺(きゅうえんじ)は天竜浜名湖鉄道線、天竜二俣駅下車。北東に徒歩約15分。
拝観は庫裏にお願いする。行事等ある場合があるので、事前に連絡してからうかがうのがよい。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれ
曹洞宗のお寺。
平安前期草創で、かつては久淵寺(または九渕寺)と称したというが、不詳。実質的には16世紀の創建になるようだ。
江戸時代の18世紀半ばに大きな火災があり、いくつかの堂、門を除いてほとんどの建物は焼けてしまったというが、すみやかに復興を遂げている。近世から近代の激動期も、寺地に大規模に植林を行い、それがその後の寺の維持に大いに役立ったという。
この寺には2躰の古仏が伝えられている。いずれも客仏である。
2躰のうち阿弥陀如来坐像は、もと天竜川をさかのぼったところにあった末寺の慶谷寺というお寺に伝わった仏像だそうだ。慶谷寺が廃寺になったのち、しばらくはその集落の小堂にまつられていたという。
拝観の環境
本堂に接続してつくられている位牌堂の中央に、厨子に入って安置されている。
照明もあり、近くよりよく拝観できる。
阿弥陀如来像の印象
像高約45センチ、カヤの寄木造である。手は来迎印を結ぶ。鎌倉期の作。
肉髻を大きくつくる。地髪から自然に立ち上がって、こんもりと高い。螺髪の粒は細かく、整然と並ぶ。
丸顔で、目は半眼、たいそう切れ長である。鼻と口は近く、口は小さく、顎も小さい。
なで肩で、ゆったりとした上半身。
脚部はしっかりと左右に張って、安定感がある。
薬師如来像について
もう1躰の客仏である薬師如来像は、像高約130センチの立像。
境内の薬師堂に安置されている。親しみやすい素朴な姿の像で、こちらも他寺院から移されてきたものだそうだ。
その他(岩水寺について)
天竜二俣駅から西に3駅め、岩水寺駅という駅がある。この駅から北に10分強歩くと、岩水寺(がんすいじ)というお寺があり、安産祈願で知られる。
本尊は鎌倉時代の地蔵菩薩立像で、珍しい裸形着装像。2011年に重要文化財に指定された。秘仏で、開帳日はお寺のホームページで知ることができる。
しかし、ご祈願で堂上に案内された信者の方以外は堂外からの拝観となるため、残念ながら遠目でほとんど像容はわからない。
さらに知りたい時は…
『わが心の木彫仏 東日本』、丸山尚一、東京新聞出版局、1998年