長楽寺の薬師如来像
鎌倉仏の優作
住所
八王子市川口町335
訪問日
2011年3月20日
この仏像の姿(外部リンク)
拝観までの道
八王子駅から北西に約8キロ。秋川街道ぞいにあるお寺。
交通は京王八王子駅またはJR八王子駅から川口経由武蔵五日市駅、上川霊園方面行き西東京バスに乗車し、約30分。「影沢」下車。バスの本数は日中1時間に3〜4本。
下車しすぐ後ろ側の「西田橋」交差点から南へとまっすぐ進むと、5分ほどでお寺に着く。
→ 西東京バス
拝観は事前連絡必要。住職は他寺院との兼務で不在時もあり、余裕をもって連絡をとり、拝観できる日時をうかがうとよい。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれ
真言宗のお寺で、開創は鎌倉初期と伝える。本尊は不動明王。
境内の薬師堂の本尊であった薬師如来坐像は、鎌倉時代の像で、室町時代にこの地域の領主川口氏より寄進された像という伝えが残る。
拝観の環境
近年本堂が建て直され、これにともなって薬師如来像は本堂内に移された。本尊の後陣に耐火シャッターを備えた空間が設けられて、安置されている。
照明はやや暗めではあるが、近くよりよく拝観できる。
仏像の印象
像高は約90センチの坐像。玉眼。
顔はやや面長で精悍。肉髻は低めで、螺髪の粒は大きい。髪際はわずかにカーブする。
上背があり、脚部は左右への張りはそれほどでもないが、どっしりとしている。胸の肉づき、脇の下のくぼみ、組んだ足の凹凸が衣を通して分かるところなど、肉体の表現がすばらしい。衣は複雑な線を描き、左肩の折り畳まれた様子や、衣の端が両膝の間にうねうねと流れる様子は若干しつこくもあるが、うるさいというほどではない。右足を上に足を組んでいるが、足は衣にくるまれて見えない。
衣の1番下には左肩からつっている下着をつけ、その下にヒモをわずかに見せる。
衣の襞(ひだ)は太く、つまめるような質感をよく出している。
指先や薬壷は後補だが、他は保存状態が非常によい。光背及び蓮台も当初のもの。光背の下部の模様(光脚)の模様も美しい。また、蓮台は丸く豊かで、像と絶妙のバランスである。
さらに知りたい時は…
『薬師如来と十二神将』(展覧会図録)、鎌倉国宝館、2010年