金蔵寺の阿弥陀如来像
紐で吊った袈裟が華やかさを出す
住所
江戸川区江戸川3−23−4
訪問日
2013年6月9日
拝観までの道
金蔵寺(こんぞうじ)は、東京の東部、新中川と旧江戸川の合流地点近くにある。
交通は、都営地下鉄新宿線の一之江駅で下車し、徒歩15〜20分。
駅の東南の瑞江大橋で新中川を渡り、今度は北東へ、交差点「消防署瑞江出張所」から東へと入る。
付近には都営バスや京成バスの路線も通っている。
本尊の阿弥陀如来像は、事前の電話予約によって拝観できる。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれなど
浄土宗の寺院。
室町時代前期に創建し、江戸時代前期に再建されたというが、お寺の歴史はよくわからない。
その後、幕末の地震で本堂が倒壊、また近代以後も暴風雨や高潮、関東大震災と、大きな災害によって被害を被り、史料が伝わらないためと思われる。
ここは、江戸時代にはわずか90戸の村であったそうだ。そのわりにいくつもの寺社がならびたっている。
中でひときわ立派な屋根が目立つのがこの金蔵寺の本堂である。20世紀前半に建てられた先代の本堂が老朽化したため、1990年代に建て替えられたもので、この時に本尊も修理された。
それ以前は江戸時代後期に補われた金箔に覆われていたが、これを落とし、今はほぼ全身が下地の黒漆をあらわすが、当初の金箔も少し残る。
右足先などは後補だが、全体に保存状態はたいへんよい。
拝観の環境
本尊は本堂内陣壇上に安置される。
堂内は明るく、近くよりよく拝観させていただけた。側面の様子もわかる。
仏像の印象
像高は約95センチの立像。髪際からであれば約90センチで、三尺の来迎の阿弥陀像である。針葉樹材の寄木造。
この像の魅力は、穏やかな印象の頭部とダイナミックな動きをはらむ体部との絶妙な組み合わせにある。
まず、丸顔で目は切れ長とせず、落ち着いた雰囲気である。口もとは微笑みの表現なのか、メリハリをつけている。肉髻は自然に盛り上がり、螺髪の粒は小さく、髪際は一直線である。
肩はややなで肩で、胸はゆったりと広い。
左の肩で袈裟を吊っているのは、比較的珍しい。吊ったところから衣が左右に分かれて、動きをはらみ、さらに腹部を覆う衣は襞をにぎやかに、深く刻んで力強い。
また、左足を半歩踏み出し、それによって左右の対象が破られ、豊かな下肢の動きが作られている。
さらに知りたい時は…
『江戸川区の仏像、仏画』、江戸川区教育委員会、2004年
『江戸川区の文化財』11、江戸川区教育委員会、1998年