極楽寺の阿弥陀如来像
歯吹如来
住所
八王子市大横町7-1
訪問日
2011年1月23日
拝観への道
極楽寺は、JR八王子駅北口から北西へ徒歩約20分。八王子市郷土資料館からだと北へ15分から20分くらいで歩ける。
16世紀初頭、藤原氏の流れを汲み関東で活躍した大石氏によって創建され、後北条氏の八王子城落城後に現在地に移ってきたという。
広い境内、大きな本堂の浄土宗寺院で、江戸時代の八王子千人同心組頭塩野適斎の墓などが残る。
本尊・阿弥陀如来像の拝観
拝観は庫裏に申し出る。法事が行われていると拝観できないので、事前連絡して行くとよい。
像高は約1メートル。寄木造、玉眼。
外陣からなので、像まで距離があり、肉眼では細部まではよく分からない。一眼鏡のようなものを持って行くとよい。
中世の作。顔つきは整って現代的な感じがする仏像である。
「鼻取如来」ともいわれるが、昔この仏像が小僧に変じて馬の鼻を取り、田を耕したという伝説から来ているという。
「歯吹き」のいわれ
この像はまた、「歯吹(はふき)如来」ともいわれる。これは、この像がわずかに口を開き、そこから歯が見えることによる。こうした「歯吹き」の相を持つ仏像は、例はあるが珍しい。
また、足の裏には、よく仏足石で見られるような模様が入っていたらしい。今では摩滅してしまっているそうであるが。
一般に立像の仏像では両足にほぞを造って蓮台に立てるが、この仏像は足の裏に模様を入れているので、かかとの後方で棒状のほぞによって立てている。こうした例も他に見られないこともないが、珍しい。
歯や足裏の文は、いずれも「生身(しょうじん)」の仏像をつくりたいというところから来ていると思われる。単なる「像」でなく、この世にともにあって我々を救ってくれる仏の姿に少しでも近づけたいという願いによるものである。
その他(真覚寺の薬師如来像について)
市内の真覚寺というお寺に伝わる薬師如来像(如来倚像)が八王子市郷土資料館に寄託、常設展示されていた。八王子市郷土資料館は1967年に開館し、味わい深い展示で親しまれてきたが、惜しくも2021年に閉館となった。かわって駅の近くに八王子博物館がオープンしたが、本像の展示については未定とのことである(2022年2月現在)。
この像は像高20センチ強の小金銅仏で、いわゆる白鳳時代から奈良時代の作と思われる。
比較的珍しい倚像という腰掛けた姿の像。肉髻はお椀を伏せたように大きなつくりで、螺髪はあらわさない。顔は傷んでいるようで、表情がわかりにくい部分もあるが、可愛らしいつくりである。ただし、古代の金銅仏でよく見られるような、極端に大きな頭、童顔というのではない。耳は大きい。
上半身には厚みがある。衣や腹で結んだひもの様子は、理屈にあっていないところがあるようで、地方での造像かと思われる。下半身はやや短い。
さらに知りたい時は…
「ほっとけない仏たち34 真覚寺の如来倚像」(『目の眼』505)、青木淳、2018年10月
『八王子市文化財調査研究報告書』、八王子市教育委員会、1993年
『八王子の仏像』、八王子市郷土資料館、1975年