因速寺の阿弥陀如来像
鎌倉時代の美しい阿弥陀さま
住所
江東区東砂1-4-10
訪問日
2013年7月7日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
交通は、都営地下鉄新宿線の大島駅または東大島駅より南へ徒歩約20分。
近くに都営バスの路線も通っている(バス停「東砂一丁目」または「東砂三丁目」)。
本堂内の拝観は事前連絡必要。
拝観料
志納
お寺や仏像のいわれなど
浄土真宗の寺院で、創建は江戸時代初期。
はじめ京町すなわち現在の都心に創建されたというが、その後木挽町、永代と移転し、関東大震災ののちに現在の場所に移ってきたという。
本堂の斜め前には親鸞の聖人のお像が立ち、近年建て替えられた本堂には「悪人成仏」の額がかかる。
拝観の環境
本尊の阿弥陀如来像はご本堂の内陣、やや高いところに安置されている。
外陣からの拝観だが、お像との距離は比較的近く、堂内は照明もあり、よく拝観することができた。
仏像の印象
阿弥陀如来像は像高約80センチの立像、寄木造、玉眼。
若々しい造形感覚は鎌倉時代の快慶作の阿弥陀像を彷彿とさせ、この像もまた鎌倉時代の仏像であるとわかる。
肉身は金泥、衣は金箔を施して、美しく荘厳された像だが、これは1996年に行われた解体修理後のもの。なお、この修理時の際に、近世の修復時納入の文書が見つかっている。
いわゆる三尺の来迎阿弥陀像としては少し小さめであるためか、一見した印象としては小ぶりな像に見えるが、よく拝観させていただいていると、大像のおもむきを感じる。落ち着きある顔立ちのためと、写真で見ると(実際には横からは拝観できないので)上半身をやや反り気味につくって風格を出しているためであるのかもしれない。
肉髻は低め、髪際は正面でやや下がり気味にカーブする。螺髪はたっぷりとつくられているが、見上げると自然な感じである。
衣は賑やかめに刻み、股間の弧状の襞と腿からゆるやかなカーブを描きながらさがる襞の様子は美しいが、様式的に整えられているようにも感じる。
その他
本尊に向って右側に、親鸞聖人の坐像が安置されている。本尊同様区の指定文化財。
さらに知りたい時は…
『江東区文化財研究紀要』9、江東区教育委員会、1998年
『江東区の仏像』、江東区教育委員会、1995年
『江東区登録文化財一覧』7、江東区教育委員会、1988年