半蔵門ミュージアムの大日如来像
運慶作と推定されている
住所
千代田区一番町25
訪問日
2018年6月16日、 2022年8月12日
この仏像の姿は(外部リンク)
入館までの道
地下鉄半蔵門線の半蔵門駅4番出口すぐ。
原則月曜日、火曜日が休館。
入館料
無料
ミュージアムや仏像のいわれなど
このミュージアムは、真如苑真澄寺が所蔵する仏教美術を広く公開するために、2018年4月に開館した。
中でも白眉ともいうべき大日如来像は、2003年に新たに見いだされた仏像である。当時は個人蔵であった。東京国立博物館の調査によって、像内には巧みにつくられた納入品があることがわかり、そのすぐれた出来映え、また運慶仏に見られる「上げ底式」像底の形などから、作者は運慶その人ではないかと推定された。
国立博物館としては当然購入に向け交渉を行ったのだろうが、価格面で折り合わなかったのか、オークションに出品され、宗教法人真如苑が落札した。
鑑賞の環境
地下1階の展示室奥のガラスケース中に、まるで中空に浮かんでいるかのようにして美しい展示がされている。
仏像の印象
像高は約66センチの坐像。髪際までを計ると約46センチ、すなわちおよそ1尺半であるので、立てば3尺の像である。割矧ぎ造。玉眼。目は黒目の脇を赤く着色し、さらに白目の端には薄く青色が着けられている。すぐ近くから鑑賞できるので、玉眼の様子がよくわかる。
台座や光背は元の所蔵者が手に入れた段階ですでに失われていたそうだ。
顔は丸々として、若々しい。しかし同時に威厳があって、仏の中の仏であると感じる。髪すじは整然と彫られて大変美しい。
姿勢は背を反り気味にして、安定感がある。胸の前で組んだ手が前後上下で絶妙の
位置にある。そして、組んだ足やくるむ衣が自然である。
裙の上にもう一枚腰布を着ける。
願主は不明だが、北関東の有力御家人であった足利氏によって1193年に作らせた像ではないかとする説がある。
その他
半蔵門ミュージアムはビルの地下1階から3階までを占め、1階は入口と小ギャラリー。地下1階が展示室となっていて、大日如来像のほかガンダーラの仏伝図などを常設展示する。また、特集展示のコーナーがあり、仏画や経典類を交替で展示していくらしい。
2階は多目的スペースで、現在は運慶作品と像内の荘厳をテーマとしてパネル展示が行われていた。
3階では仏教、仏像、そしてこの館の大日如来像に関しての映像を上映するシアターになっている。
さらに知りたい時は…
『運慶』(展覧会図録)、東京国立博物館ほか、2017年
「真如苑真澄寺所蔵大日如来坐像のX線断層写真(CT)調査報告」(『MUSEUM』669)、丸山士郎、2017年8月
『月刊文化財』549、2009年6月
「新出の大日如来像と運慶」(『MUSEUM』589)、山本勉、2004年4月