龍泉寺の地蔵菩薩像
日曜日・祝日に拝観できる
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住所
名古屋市守山区竜泉寺1丁目902
訪問日
2024年10月27日
この仏像の姿は(外部リンク)
尾張四観音 龍泉寺・寺宝について
拝観までの道
龍泉寺(りゅうせんじ)へは、JR中央本線、名鉄瀬戸線、地下鉄名城線の大曽根(おおぞね)駅からゆとりーとライン(名古屋ガイドウェイバス志段味線)に乗車し、「竜泉寺口」下車。北へ徒歩5分。
本堂の裏に城郭を模した外観の宝物館があり、「龍泉寺城」と名づけられている。日曜日・祝日のみ開館。
拝観料
龍泉寺城入館100円
お寺や仏像のいわれなど
天台宗寺院。本尊は秘仏の金銅馬頭観音像で、泉の中から出現し、最澄がこれをまつったのが本寺の始まりという。
名古屋市の観音寺(荒子観音)、笠覆寺(笠寺)、あま市の甚目寺とともに、尾張四観音(しかんのん)の1つとして信仰を集めている。
拝観の環境
龍泉寺城の2階部分が展示室になっており、それほど広くはないが、仏像、絵画、古文書、古写真など興味深い作品や資料が並んでいる。
仏像は、重要文化財指定を受けている地蔵菩薩像や、円空作の馬頭観音像・両脇侍像などが展示されている。いずれも壁付きのケース中に安置され、正面からのみであるが、よく拝観することができる。
仏像の印象
地蔵菩薩像は像高は約70センチの立像。「出世地蔵」の異名を持つ。
円頂で、袈裟をつけ、宝珠と錫杖を持つ通有の地蔵菩薩であるが、全体の雰囲気から、また袈裟の衣文が省略気味であることや手が短く作られていることなどから、いわゆる専門仏師の作でないと考えられている。
この像が重要文化財指定をされているのは、背中に銘文が刻まれ、造像年と作者がわかる貴重な作と考えられたからと思われる。
刻銘には嘉元元年卯歳と書かれ、これは鎌倉時代後期の1303年をさす。それに続いて、「長母大円無住刻作」とあり、本像が尾張の長母寺を開き、長く住した無住によって作られたと書かれる。指定(戦前の指定なので「旧国宝」)を受けたのは1914年のことで、長母寺開山堂に安置される無住和尚像もこの時指定を受けている。
しかし、無住に大円国師というおくり名がされたのはずっと後で、16世紀半ばになってからなのである。したがって、銘文の年や作者は信用できない。
もっとも、銘がのちの時代だとしても、古い像である可能性が消えたわけではない。実際、材は古そうといった指摘もされている。しかし素朴な作であるために、彫刻史の様式の議論には乗りにくく、時代を絞り込むのは難しい。
しかし、そうしたことはさておき、本像はとても可憐で、魅力的な姿の仏像である。
顔立ちは確かに素朴ながら、額、ほお、口もとには抑揚がつけられ、目は切れ長で、鼻は大きく、個性豊かな仏像である。細部、例えば左の胸で袈裟を釣っている様子など、技巧的でないところが可愛らしく心惹かれる。
仁王像について
龍泉寺の伽藍は繰り返し火災にあっているが、仁王門は古く、江戸時代初期の再建、あるいは室町時代ごろの建築が移築されたものである。左右に安置されている仁王像も中世の作で、朽損が進みながらも堂々と立ち、なかなか力強い。体はメリハリがなく単調であるが、頭は内側に向けて角度をつけ、迫力ある表情をみせている。あるいは頭部のみ古く、体は補作であるのかもしれない。
さらに知りたい時は…
『愛知県史 別編 文化財3 (彫刻)』、愛知県史編さん委員会、2013年
→ 仏像探訪記/愛知県
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