塩澤寺の石造地蔵菩薩像
2月13、14日の大祭でお堂開扉
住所
甲府市湯村3ー17ー2
訪問日
2009年2月14日
拝観までの道
塩澤寺(えんたくじ)は甲府駅の北西、湯村温泉にあるお寺である。
交通は、甲府駅南口のバスターミナル3番乗り場より山梨交通バスで約10分、「湯村温泉入口」で下車し、徒歩10分くらい。
→ 山梨交通
このあたりには古墳もあり、古くから開けた地であったようだ。また、境内には中世の石造物も残る。
塩澤寺は、それほど大きな寺院ではないが、毎年2月13、14日に行われている大祭(13日昼から14日14時まで)はたいそうな人出で賑わう。大寺院の初詣のような賑わいで、警察が人の流れを整理するほどである。
また、参道の屋台の数も半端でない。数百メートルにわたって屋台が並んで賑やかに参拝客を呼び込んでいる。あまりの混雑のために途中から一方通行にして、寺に行く人は左の迂回路を通すようになっていた。
拝観料
特に設定なし
お寺や仏像のいわれ
塩澤寺は真言宗のお寺。
本尊は2躰の石造の地蔵菩薩で、1躰は空海作、もう1躰は空也作と伝える。空海作と伝える像は六寸ほどの小像で決して公開しない、いわゆる「絶対秘仏」らしい。
もう1躰は空海作の像の魂のままに空也が刻んだという像で、こちらは「開扉仏」。ただしこれは厨子が開かれているという意味で、地蔵堂の扉が開かれているというわけではない。従って普段は扉ごしの拝観だが、この2月13、14日の大祭の時に限りお堂が開かれ拝観できる。
このお祭りのときには、この「開扉仏」の地蔵菩薩像の前に秘仏の厨子も置かれて、両方の仏像に一度に参拝でき、ご利益も大きいということらしい。
拝観の環境
お堂の外から金網越しの拝観で、堂内は暗く、残念ながらあまりよく拝観することはできない。
仏像の印象
伝空也作という石造地蔵菩薩坐像は、像高約150センチ。輝石安山岩に彫られている。
肉身部は漆箔で仕上げ、衣文にも金箔をほどこす。
左手には宝珠を、右手には錫杖を持ち、左足を外して座るが、この両手先と左足先は木でつくってはめこんでいる。また、衣文の部分には乾漆を加えて複雑な衣の様子をあらわしていて、石彫像としては極めて異例な作り方をしている。
自然の岩の上に台座を置き、その上に座していることから、この像はもともと外に造られていて、その覆(おお)い堂として現在の地蔵堂が建てられたのかと考えられる。地蔵堂が室町時代のものとされるので、仏像は鎌倉末から室町前期の作と思われる。境内の石彫物の中に室町時代前期のものがあり、地蔵菩薩像も同時期の造立なのであろう。
さらに知りたい時は…
『山梨県史 資料編7(中世4)』、山梨県、2004年
『山梨県史 文化財編』、山梨県、1999年