法泉寺の聖観音像
静かな中に秘められた動き
住所
羽曳野市野々上3丁目4-32
訪問日
2009年1月18日
この仏像の姿(外部リンク)
拝観までの道
近鉄線の藤井寺駅の南、徒歩20〜25分。弥勒菩薩半跏像で有名な野中寺の南にある。
藤井寺駅からバスあり(近鉄バス「野々上」下車)、また古市駅にレンタサイクルがある。
拝観には事前予約が必要。
拝観料
志納
お寺のいわれ
法泉寺の前身は野中寺の別院であったと伝える。その後荒廃していたのを江戸時代中期に黄檗宗寺院として再出発した。
拝観の環境
平安時代前期から中期にかけての作と思われる聖観音像は本堂の中央に安置されている。お堂の中は明るく、すぐ前に寄って拝観させていただける。
仏像の印象
像は内ぐりのない一木造で、像高150センチほどの立像である。見た目にはもっと大きな像に見える。顔は大きくやや四角い。また若干前傾する。一方肩はやや後ろに、お腹は丸く前に突き出す。前後に動いて拝観させていただいていると、静かな像の中にある動きが見えてくるように感じる。
腰は大きくくびれ、下半身の衣の襞(ひだ)は太いがあまり誇張的でない。腕は長い。
よく見ると、顔はほんの少し左を向いているように感じる。眉も左右対称でなく、右側がわずかに上がっている。裙の折り返しも腰のわずかなひねりに応じて左右対称が崩れ、こうした左右の動きもまたこの像の静かな中に秘められた動きをあらわしている。すばらしい仏像だと思う。
全身は黒く古色をつけているが、これは後世のもの。また垂下する天衣や冠は後補だが、全体に保存状態はよい。
その他
聖観音像に向って左側には江戸時代初期の作という寄木造の弁財天像が安置されている。像高は3メートルもあり、その重さは300キロ以上という。八臂の立像で、素朴な作であるが、これだけ大きな弁財天像はたいへん珍しい。この寺は亀池弁財天ともよばれ、弁天信仰の寺でもあり、現在でもご商売の方など参拝が多いそうだ。
聖観音像に向って右側には中世作の聖徳太子の小像が安置されている。
また、本尊前の美しい形の卓(机)は室町時代の作である。
さらに知りたい時は…
『羽曳野市史7(史料編5)』、羽曳野市、1994年
『大阪の仏像100選』、胎中良和、府政新聞社出版部、1994年