万満寺の仁王像
「股くぐり」行事の際に開扉
住所
松戸市馬橋2547
訪問日
2008年3月28日、 2022年10月14日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
万満寺はJR常磐線(千代田線直通の各駅停車)の馬橋(まばし)駅から北東方向、徒歩5分ほどのところにある。駅東口を出て、東に真っすぐ進み、突き当たったら左を見ると万満寺の門が見える。
伽藍は楼門、中門、本堂の順に一直線に建物が配置されている。仁王像は中門に安置されている。
拝観料
無料だが、「股くぐり」は300円
お寺や仏像のいわれ
万満寺は鎌倉幕府の御家人であった千葉氏が鎌倉中期に創建した寺と伝える。はじめは鎌倉・極楽寺の忍性を迎えて開かれ、大日寺と称したが、南北朝時代に禅宗に転じ、その後万満寺と寺名を変更した。
江戸時代には幕府の保護を受けたが、20世紀初頭に汽車の煙火から火事が起こって、仁王門を残し全山焼失した。仁王像は無事であったが、避難させるなどして傷んだため修復が行われ、その際吽形像より「1474年の再興」との墨書銘が見つかった。
「再興」は、作り直されたとも修理されて再び立てられたともとれるが、仁王像の力強い姿から、お寺の創建時である13世紀の作で15世紀に修理されたものと解釈されている。
拝観の環境
普段は扉が閉まり、ガラスごしの拝観で、よく見ることは難しい。
1月1〜3日と春季祭礼(3月27〜29日)、秋季祭礼(10月27〜29日)に行われている「股くぐり」行事の際に開扉され、よく拝観できる。
仏像の印象
カヤの寄木造で玉眼、像高は2メートル半を越える。
翻る天衣(てんね)や持物は後補。
均整がとれ、バランスよく立つ優れたできばえの像である。顔はどことなく田舎風で親しみを感じる。
「股くぐり」行事について
万満寺の「股くぐり」は、仁王さんの足の間を通ることで、1年間の健康を祈るというもので、なかなかユニークな行事である。仁王像は戦前国宝指定され(旧国宝)、現在は重要文化財となっている。文化財に触れるほど近くに寄るということは本来ありえないことだが、この時ばかりは像(向って右の阿形像)に体に触れてその下をくぐる(両足と裳裾の間の狭いスペースに頭から入って抜ける)ことができる。
さらに知りたい時は…
『仁王』、一坂太郎、中公新書、2009年
『法王山万満寺史』、万満寺発行、1987年
『房総の古彫刻』、郡司幹雄、隣人社、1968年
『松戸市史』上、松戸市、1961年