泉屋博古館の国宝鏡像
径15センチの中の7尊(9体の尊像)
住所
京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24
訪問日
2009年11月15日、 2026年6月19日
この像の姿は(外部リンク)
館までの道
泉屋(せんおく)博古館は、地下鉄東西線の蹴上(けあげ)駅から北へ徒歩約20分。南禅寺の境内を抜けて、鹿ヶ谷通を来るのがよい。
バスの場合は、館のすぐ近くに「宮ノ前町」バス停があるが、ここを通る路線の便数はやや少ない。西側へ数分のところにある「東天王町」バス停が便利。
正門は丸太町通、脇の門は鹿ヶ谷通に面しているが、どちらから入るにしても、丸太町通が鹿ヶ谷通に突き当たるT字路を目指して行けばよい。
開館は春季(3月〜7月)と秋季(9月から12月)。原則月曜日が休館。
→ 泉屋博古館・京都
入館料
特別展開催時1200円(企画展の時は1000円、ブロンズギャラリーのみ開いている時期は600円)
泉屋博古館について
住友家が蒐集した美術品を展示するために1960年財団設立。1970年に京都に現在の場所に美術館を開く。当初は公開期間も短かったが、現在は展覧会開催期間も長くなり、展示室も充実したものを備える。
名前の「泉屋」は江戸時代の住友家の屋号に由来する。
コレクションの中心である中国青銅器および銅鏡は4つの展示室のある青銅器館(1号館、ブロンズギャラリー)で展示されている、中庭をはさんでで特別展、企画展が行われる2号館(2つの展示室)がある。
展示の環境
常設展示の第4展示室には、銅鏡が多く並べられている。中国鏡中心だが、和鏡の展示もある。
国宝指定の「線刻仏諸尊鏡像(線刻釈迦三尊等鏡像)」はこの展示室の独立ケースに立てて展示されている。ただし展示は常設ということではないようなので、展示されているかどうかは館のホームページで確認するか、問い合わせてからお出掛けになるとよい。
模様が刻まれた側(裏面)はよく見えるが、なにぶん表面の像は線刻なので、角度を変えながら見えるところを探すような感じとなる。一番大きな如来形の坐像は見えるが、他の像はやや見えづらい。
鏡像の印象
白銅(銅にニッケルを加えた合金。現在の50円、100円硬貨もこの白銅製で、美しい銀色がでる)の八稜(はちりょう)鏡である。八稜鏡とは、鏡の外周が円形でなく、8つの尖った角をつくりだしている鏡で、それぞれが蓮の花びらをかたどっている。径は約15センチと小さな鏡で、厚さは約1センチ。平安時代中〜後期の作。
この小さな鏡の表面に諸尊が線刻されている。
中央上部に説法印の如来坐像、その左右に菩薩坐像、それぞれの斜め下に象と獅子に乗る菩薩像は普賢、文殊菩薩。こちらを脇侍と考えれば、中央の如来像は釈迦如来となる。しかし、すぐ脇の2菩薩が脇侍として阿弥陀三尊像とも考えられる。
一番下には不動明王、毘沙門天の立像が描かれる。ここまでを合わせると7尊となる。しかし、よく見ると不動明王像の左右には2童子が付き従っているのがわかる。2童子を合わせると描かれている尊像は9体となる。
諸尊の姿は極めて精緻に彫られて、一部摩滅しているものの、全体にたいへんよい保存状態である。
如来像の衣が左腕から下がって膝にゆったりおりていく様子や腹のあたりでしわをつくっているところ。蓮華から下がるアクセサリー。獅子や象の鞍の模様。不動明王には二童子が随伴し、中央の不動尊を見上げている姿など、見飽きない。中尊の前には花が供えられているのだろうか。また、諸尊の間には散華する花びらや草花の模様がちりばめられている。とはいってもぎっしり埋め尽くすような息苦しさはなく、いかにも平安時代の優美さが感じられる。
裏面は、文様がくっきりと浮き上がって、美しい。外区と内区に分かれ、外区は唐草文と蝶、内区は花と鳥が描かれている。
その他
泉屋博古館は仏像も所蔵している。中国南北朝時代の金銅仏である弥勒仏立像と1130年の像内銘をもつ阿弥陀如来坐像などだが、常設展示ではない。
最近では2026年春季の「文化財よ、永遠に2026」と題した展覧会で阿弥陀如来坐像が展示された。
さらに知りたい時は…
『いにしえが、好きっ! 近世好古図録の文化誌』(展覧会図録)、国立歴史民俗博物館、2023年
『最澄と天台宗のすべて』(展覧会図録)、東京国立博物館ほか、2021年
『神仏習合』(特別展図録)、奈良国立博物館、2007年
『鏡像と懸仏』(『日本の美術』284)、難波田徹、至文堂、1990年1月

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