善願寺の地蔵菩薩像
「腹帯地蔵」
住所
京都市伏見区醍醐南里町33
訪問日
2008年11月17日
拝観までの道
京都市営地下鉄東西線の醍醐駅の東南にあり、駅から徒歩15分くらいである。
山科駅と京阪六地蔵駅を結ぶ京阪バスに乗ると、「醍醐和泉町」バス停から南へ徒歩2分。また、醍醐寺(三宝院)からは南へ徒歩10分くらいで着く。
→ 京阪バス
拝観には事前予約が必要。不在や法事のことがあるためとのこと。
拝観料
300円
お寺や仏像のいわれ
古代草創と伝えるが不詳。
丈六の地蔵菩薩坐像が本尊で、おなかに衣のひもが見えていることからか、安産祈願の地蔵(腹帯地蔵)として有名である。平重衡(しげひら)の母が信仰して重衡を生んだとか、重衡の妻が安産祈願をしたといった伝承をもつ(重衡は清盛の子で、南都焼き討ちの指揮をとったことで知られる武将。最期は源氏方に捕われ処刑された)。
拝観の環境
地蔵菩薩像は収蔵庫に安置されている。
かつては本堂の壇上に安置されていたそうだ。ご本堂はこじんまりしているので、お地蔵様はその奥いっぱいに座していらしたのだろう。
1954年に重要文化財指定を受け、収蔵庫を建てて移すことになり、その際本堂の横のガラスから収蔵庫内のお地蔵様に対面できるように設計したとのこと。
拝観は収蔵庫の入口からで、ガラスごしではあるが、収蔵庫内は明るく、拝観しやすい。
仏像の印象
像高は約270センチ。全体的には平安後・末期の落ち着いた仏像であるが、個性ある姿かたちをされている。
頭、上半身は大きくつくる。顔つきは優美だが、どこかした人間的な生々しさを漂わせる。
衣は流麗で、下半身では特に襞(ひだ)は浅く刻まれるが、右肩からの襞はなかなか力強く刻まれている。体は四角く、平板な印象である。膝は、高さは低く、また奥行きが寸詰まりな感じで、また、手もすらりとは伸びていない。
味わいのあるお姿でいつまでも立ち去り難いお地蔵さまである。
その他
本堂の天井画は江戸時代のもの。また本堂内および収蔵庫横の榧(カヤ)の木のは現代の仏師、西村公朝の仏像がある。榧の木の仏像は、樹齢1000年という生きた木に直接不動像を彫ったものである。
ほかにこの寺には唐からの請来といわれる僧形坐像(2躯、像高はいずれも40センチ弱)が伝えられているが、京都国立博物館に寄託されている。
さらに知りたい時は…
『発掘!善願寺史』、西垣靖純、善願寺歴史研究会、2002年
『解説版 新指定重要文化財3 彫刻』、毎日新聞社、1981年
『秘仏開眼』、西村公朝、淡交社、1976年